これに対しドラえもんは、良くも悪くもドラえもんのままである。
本コラムを書くために私は最新作で話題を集めている『ドラえもん のび太の宝島』を見たが、服装から家のつくりや街並みも見事に昭和50年代のままだ。相変わらずしずかちゃんはさらわれ危険な目にあっており、それをのび太とドラえもん、ジャイアンとスネ夫といった男性陣が救出するという、相変わらずのストーリーだ。
ちなみに、ディズニー映画で主人公が多様性に富むのに対し、ドラえもんでは、必ずやこのお馴染みのメンバーであり、あの出木杉君でさえ、一度も主人公として冒険の舞台に立たせてもらえていない。
そして相も変わらず毎回、「地球を滅亡から救う」という、とって付けたようなストーリー展開であるのも、もはや大相撲や落語のような、「変わらないことへの伝統価値」を見出す文化財の域に達しているような気すらしてきた。
ディズニーは映画のストーリーやキャラクターが毎年積みあがっていき、多様なポートフォリオを抱えているため、時代と市場セグメントの変化への対応が可能だ。
これに対しドラえもんは毎回同じキャラクターで完全にマンネリ化しているため、安心感はあるものの、成長性に欠けるのも無理はないのである。もちろん、ドラえもんやサザエさんが時代とともにキャラが変わると、“懐かしさ”が消えてしまうので賛否両論なのだが、懐かしさ市場だけで生きている限り、海外市場を視野に入れた大きな成長は望むべくもないのである。
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