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» 2018年06月01日 07時27分 公開

常見陽平のサラリーマン研究所:西城秀樹さんの訃報を聞いて、 “Webおくりびと”の言動を考える (2/3)

[常見陽平,ITmedia]

「実は影響を受けていた」という告白

 Webおくりびととは、Wikipediaを更新する人だけを指すわけではない。プロアマ問わず、Web上で追悼メッセージ、コメントを発表する人もWebおくりびとである。この追悼の仕方も多様である。ひたすら悲しみをつづる者、思い出を書く者、うんちくを披露する者などさまざまだ。中には、死期を察し、準備していたのではないかという者もいる。普段から情報を蓄積しているがゆえに、あっという間に追悼文を投稿する者もいる。

 このWikipedia更新型にしろ、お悔やみコメント型にしろ、Webおくりびとの存在は否定しない。現代は人とのつながり方が多様化し、共通体験が減っているといわれている。みんな生きていくだけで精一杯なのだ。そんな中で、誰かの死について語りたくなるのは奇跡のようなものではないか。しかも家族や友人、恋人、同僚などではないのにかかわらず、だ。

 今回の西城秀樹さんの逝去については、熱く、心温まるコメントを多数見かけた。仲間に語りかけるような野口五郎さんの弔辞も素敵だった。泣きながらYMCAで故人をおくるファンたちの様子も感動的だった。

 ただ個人的には、何かが足りない気がする。それは、「西城秀樹さんに影響を受けた」「実は秀樹さんの真似をしていた」と告白する芸能人やアーティストがあまり出てこなかったことだ。

 80年代の男性アイドルはもちろん、B'zの稲葉浩志、X JAPANのToshl、氷室京介、GACKT、LUNA SEAの河村隆一も、何らかのかたちで西城秀樹の影響を受けていると思う。バンドブーム時代の長髪のボーカリストはたいていそうではないか。インタビューで、「レッド・ツェッペリンやデヴィッド・ボウイの影響を受けた」などと語ったところで、実はその前に西城秀樹の影響を受けていたのではないかと。こういう「実は影響を受けていた」という告白こそが、共感を呼ぶのではないか。

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