大手携帯電話事業者のNTTドコモ、KDDI、ソフトバンクは6月21日、メッセージアプリ「+(プラス)メッセージ」のiOS版をリリースした。電話番号だけで長文のメッセージ交換、写真・動画のやりとり、スタンプの送受信、グループトーク――などができるアプリで、Android版は5月9日にリリース。「LINE」に対抗するアプリとして注目を集めた。
だが、Android版は出だしからつまずいた。ソフトバンクは当初、端末上で「SoftBankメール」アプリが自動更新されて「+メッセージ」に置き換わる仕組みを採用していた。だが、それを知らないユーザーが「新しいアプリが勝手にインストールされた」と誤解。誤ってアンインストールし、過去のメール履歴が消えてしまうユーザーが続出したのだ。
これを受け、ソフトバンクはAndroid版の配信を停止。この措置は現在も継続されており、「再開のめどは立っていない」(ソフトバンク広報部)という。
また、使用するキャリアを問わず、Twitterなどでは「バッテリーの消費量が多すぎる」「通知が来ない」「自分の周りには始めている人はいない」――など、使い勝手や普及率を問題視する投稿も出ていた。
それから1カ月超をへてようやくiOS版をリリースし、普及のスタートラインに立った携帯キャリア。各社は「+メッセージ」の現状をどう捉えているのか。iOS対応を機に、コミュニケーション手段として定着させられるのだろうか――。
各社の広報部にAndroid版の累計ダウンロード数を聞くと、NTTドコモは「35万件」、KDDIは「140万件」、ソフトバンクは「非開示」と回答。単純比較はできないが、国内のMAU(月間アクティブユーザー)が7500万人を超えるLINEよりも寂しい数字といえる。
ユーザーからの反響や主なユースケースについては、3社ともに「リリースからあまり時間がたっておらず、顧客からの声は特に届いていない」と回答した。
こうした状況をどう変えるつもりなのか。各社に聞いたところ、ドコモは「(iOS対応を機に)『+メッセージ』の良さである、電話番号でやりとりするツールならではの利便性や安心感を、お客さまに丁寧にお伝えしていく」と展望を話した。
「今後発売されるAndroid機種には『+メッセージ』をプリインストールし、ユーザーの利便性を高める。さらなる機能拡充も行い、より魅力のあるサービスに進化させる」(ドコモ)という。
KDDIは「iOS対応によって、ようやく普及に向けた体制が整ったと捉えている。今後は3社で協力し、使い勝手の向上に取り組んでいきたい。無料スタンプの拡充なども視野に入れている」と展望を説明。
ただ、「今までLINEでやりとりしていたユーザーが、いきなり『+メッセージ』に乗り換えるのは現実的ではない」とし、「当初の狙い通り、ビジネスシーンでの利用増を目指し、『Cメール』からの乗り換えを促進する。ビジネスパーソンがストレスなく、長文のテキストで意思疎通してもらえる状況を作っていく」(KDDI)とした。
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