スマホの画像を印刷できる、「プリントス」はなぜ売れたのか水曜インタビュー劇場(3カ月10万台公演)(2/6 ページ)

» 2018年06月27日 08時00分 公開
[土肥義則ITmedia]

開発はこのように進んだ

 土肥さんの話を紹介する前に、本記事のルールを説明する。もうお気付きだと思うが、話し手も聞き手も「土肥」なのである。ただし、読み方は違う。タカラトミーの土肥さんは「どひ」と読み、アイティメディアの土肥は「どい」と読む。少々分かりにくいかもしれないが、本文では「どひ」「どい」と明記する。

どい: スマホで撮影した写真をその場でプリントできる「プリントス」が売れていますよね。この商品の最大の特徴は、「完全アナログ」であること。電池も使わない、Bluetoothも使わない、アプリも使わない。新商品を開発する際、あれもこれもと機能を追加する傾向があるなかで、時代に逆行するようなプリントスはどのようなきっかけで開発が進んだのでしょうか?

どひ: 「タカラトミー」と聞くと、玩具メーカーのイメージが強いかと思いますが、実はカメラに関係する商品もたまに出しているんですよね。例えば、2008年、プリンター内蔵型デジタルカメラ「xiao(シャオ)」という商品を発売しました。液晶モニター、SDHC/SDメモリーカードスロット、500万画素といった機能を装備していて、その場でインスタントカメラのようにプリントすることができる。価格は3万4800円(税別)。

どい: 高いっ!

プリンター内蔵型デジタルカメラ「xiao(シャオ)」

どひ: 他のデジカメと同じくらいの価格だったので、「なぜタカラトミーがそのような商品を出すの?」といった指摘がありました。残念ながら売り上げはあまりよくなかったのですが、悪い話ばかりではありません。おもちゃとしてのカメラ、本格的なカメラなどをつくり続けたことで、知見がたまっていきました。

 当社は玩具メーカーなので、何かを回せば反対側の何かが動く、何かを押せば他の部品が動く、といったカラクリをつくるノウハウはある。ということもあって、カメラのように、このボタンを押せばシャッターが切れる、つまみを回したらフィルムが出てくる、といった商品をつくることができるのではないかと考えました。

どい: ふむ。

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