ハワイ火山噴火、科学者が自然に挑む「決死の調査」意気地なしには務まらない(3/3 ページ)

» 2018年07月12日 16時30分 公開
[ロイター]
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photo 7月8日、2番目に長い噴火を記録しているハワイ島キラウエア火山は、科学者に過去の噴火よりもはるかに優れた研究機会をもたらしており、「決死の調査」が続けられている。写真は、キラウエアの「亀裂8」から噴き出る溶岩。6月撮影。提供写真(2018年 ロイター/USGS/Handout via REUTERS)

一方、キラウエアが位置するハワイ郡の広報担当ジャネット・スナイダー氏は、山頂からほぼ毎日のように噴火が起きており、蒸気や灰が噴出していると語った。

科学者たちは、キラウエアの溶岩湖の頭位が下がり、地下水が火道に流入して水蒸気爆発が発生すると考えていた。現在の噴火ともっともよく比較される1924年の噴火はこの考え方に基づいている。

しかし今回の噴火では、大量の二酸化硫黄ガスが放出されている。つまりこれは、マグマが影響していることを意味していると、火山学者のマイケル・ポーランド氏は指摘する。同氏はキラウエアに派遣された多くの火山学者の1人で、イエローストーン火山観測所の科学者を率いる。

「したがって、われわれは考え方を大きく転換し、これまでとは異なる理解に至っている」と同氏は語った。

ポーランド氏ら科学者は、小規模な噴火によって発生した多くの地震で損壊した山頂の観測所から装置やアーカイブをハワイ島ヒロにあるハワイ大学に移した。

アーカイブには写真や地震記録やサンプルが含まれ、100年以上古いものもあると、ポーランド氏は言う。「『こんな新しいアイデアがある。過去のデータを使って検証したい』と言う人にとって、このような資料はとても貴重だ」

キラウエアでは1955年に次ぐ2番目に長い噴火が記録されており、今回の噴火は過去の噴火よりもはるかに優れた研究機会をもたらしているとボール氏は言う。

「はるかに優れた性能の機器を使って、より長期的にデータを集めることが可能だ」

(翻訳:伊藤典子 編集:下郡美紀)

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