Hikakinを超える日も!? アンリアルな謎の人気者「Vチューバ―」を追う中の人などいない? いえ、います(3/3 ページ)

» 2018年07月30日 08時00分 公開
[服部良祐ITmedia]
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都市伝説と化した「鳩羽つぐ」

 コンテンツ内容に制約があり、しかも今の主要ファンは若いオタク層。「Hikakinと同じことをしていてもHikakinにはなれない。(個人のトークで勝負する)タレントではなく、(設定などに凝った)コンテンツとして成立する必要がある」(石塚さん)。

 果たしてVチューバ―はHikakinを超えられないのか。石塚さんがVチューバ―の新たな可能性として注目するのが、物静かな幼い女の子「鳩羽つぐ」だ。

photo 謎多き鳩羽つぐの設定をファンはさまざまに考察する(YouTubeの公式チャンネル「鳩羽つぐ」から引用)

 「鳩羽つぐです。西荻窪に住んでます。おわりー」。約1分しかないデビュー動画で、彼女は穏やかな音楽に合わせてゆらゆらと動きながら、この短いせりふをつぶやく。真っ白な背景から視点が広がり、だんだんと暗い室内の全体が浮かび上がる。あたかも彼女が密室で「撮影」されているかのような風景が広がる。

 Webに投稿された彼女の動画はまだ5本程度だが、最初の動画は既に120万回再生を突破。いずれも生活音しかしない中で鳩羽つぐが歯磨きしたり何かを食べるような、日常的でしかもミステリアスな内容ばかりだ。

 石塚さんは「鳩羽つぐは動画内でひとことふたことしか話さないが、世界観がよくできている」と指摘する。動画がアップされるたび、彼女の住所や置かれている状況に関する情報が断片的に提示される。結果、ネット上でファンが「誘拐されているように見える」「西荻窪は今は消滅した地名。彼女はもうこの世にいないのでは?」などと彼女の設定を巡り考察を深め、都市伝説扱いする人すらいるという。

 一方で石塚さんは「鳩羽つぐは少ししかしゃべらないキャラ。動画が終わった後、(タイアップ広告などで)鳩羽つぐです!と元気に話し始めたら(世界観が)台無しになる」とも指摘。「Vチューバ―は(設定の充実した)コンテンツとしても、(トークできる)コンテンツとしても成立しなければいけない」と考える。

 石塚さんによると海外でVチューバ―のようなキャラはほとんど見ないといい、日本独特のネット文化とみる。単なるユーチューバーのコピーでないVチューバ―が、ビジネスとしても文化としても定着できるか注目される。

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