「私は70席ある飲食店を運営しています。かつては7〜8人で接客していましたが、今は(店長である)私、新人の女子高生、70歳近くの女性2人の計4人でなんとかお店を切り盛りしています」
とある男性は、深刻な人手不足の状況をそう説明した。
ここは、飲食業界への人材紹介やコンサルティングなどを手掛けるクックビズ(東京港区)が2018年7月に開催した「飲食に特化した応募・採用育成力UPセミナー」の会場だ。当日は、50人近くの飲食業関係者が集まり、熱心にメモをとっていた。
セミナーで講師は、「これまでの考え方を改めないと人材を採用できなくなる」という強いメッセージを参加者に伝えていた。
「面接事前準備のポイント」「面接時の身だしなみ」「面接実施時のポイント」――これらは、応募者に対するアドバイスのように思えるが、飲食店に特化した同社の研修サービス「クックビズフードカレッジ」講師の荒木寿夫氏は「面接官が気にすべきポイント」として指摘する。
例えば、従業員の面接を実施する場合、仕入れた食材やおしぼりを店内の見える場所に乱雑に置くのはNGだ。テーブルをきれいに拭いたり、掃除機をかけたりするのは必須だという。応募者に「こんな汚い職場で働きたくない」と思われないためだ。
さらに、面接官には清潔感が重要で、「ユニフォームに汚れや臭いがついていないか」「爪は短く切ってあるか」「肩にフケがついてないか」といったことも事前にチェックすべきだと荒木氏は指摘した。
応募者から電話で問い合わせがあった際の対応が悪いと、面接に来てもらえなくなるという。スタッフの対応がぞんざいだったり、従業員の募集をしていることを知らなかったりすると、応募者は「自分は歓迎されていないのではないか」「職場内の風通しが悪いのではないか」と不安に感じてしまう。
やや古いデータになるが、10年に求人情報サイト「an」が行った調査によると、面接を“ドタキャン”する理由の上位に「連絡・対応が遅かったため」「対応が悪かったため」という項目が並んでいる。
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