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日本人の働き方が変わらない、本当の原因は「大縄跳び競走」にあるスピン経済の歩き方(1/7 ページ)

» 2018年07月03日 08時05分 公開
[窪田順生ITmedia]

 先週、働き方改革法案が成立した。

 といっても、盛り上がっているのは国会とメディアくらいで、ほとんどの善良な一般市民は「あ、通過したんだ、ふーん」というくらいのリアクションではないだろうか。

 これはFIFAワールドカップなどのせいではなく、日本の労働者の大半は、今回の法律に対して、「面倒な研修とか社内通達が増えるだけで、なにも変わらないでしょ」とハナから期待をしていないことが大きい。

 それはしょうがない部分もある。「70年ぶりの大改正」なんて報じるメディアもあるが、1991年に国連人権小委員会で初めて日本の過労死問題が取り上げられ、「KAROSHI」という概念が広まって以降、政府や役所が今日までなにもしなかったわけではなく、それなりに長時間労働是正に務め、「早く帰れ」「もっと休め」と訴えてきた。

 しかし、変わらなかった。22時でオフィスの電気を落としても近くのカフェで残業をする会社員が増えただけだったように、投網的規制にはいくらでも抜け道があるからだ。

 残業に上限を設けて罰則規定をつくったからといって、急にこれまでの労働環境がガラリと変わるわけないじゃん――。そう感じてしまうのも当然といえば当然なのだ。

 では、どうすれば働き方は変わるのか。個人的には今回の法整備よりも、もっと目に見えて高い効果が得られる施策があると思っている。日本中の小学校で行われている「クラス対抗大縄跳び競走」の中止だ。

 これは、クラスの生徒が一丸となって大縄跳びをして、どれだけミスをせず記録を伸ばせるか競ったり、8の字を描いて次々と飛んでいく「8の字跳び」を1分間でどれだけできるのかを競ったりするもので、1960年代あたりから教育現場で盛んに行われている。

 東京五輪が決まった近年は特にヒートアップしており、NHKでは全国の小学校から応募してきたクラスのなかから日本一を競う「全日本なわとびかっとび選手権」が「東京2020公認プログラム」となっている。『炎の体育会TV』(TBS)でも同じよう趣旨で「松岡修造プレゼンツ小学生大縄跳び選手権」が企画されて現在、関東大会が開かれている。

 こういう全国の小学生に一律で「大縄跳び」をさせることを一度スパッとやめてみてはいかがだろうか。

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