メディア
トップインタビュー
連載
» 2018年08月07日 08時30分 公開

ガス会社勤務だった女性が「世界最大級のデジタルコンテンツ会社」を率いるまで新連載:パーフェクトウーマン 女性が拓く新時代(3/5 ページ)

[大宮冬洋,ITmedia]

多国籍なメンバーをマネジメント 重視したのは「チームダイナミクス」

――チームのメンバーは当然ながら多国籍ですよね。マネジメントに難しさを感じることはなかったのでしょうか。

 英国なら英国、ドイツならドイツと国ごとの労務関係のルールは勉強します。でも、年齢や性別、人種ではなく、個人として見ていましたので国が変わってもマネジントの方針は変わりません。「この人はどんな業務が向いているのか。どんな点をこれから身につけなければならないのか」という視点です。

 私はメンバーの組み合わせを工夫することによってそれぞれの力を引き出す“チームダイナミクス”を重視します。「このチームはこの部分が足りないから、こういうタイプの人を新たに入れよう」と常に考えています。例えば、前向きでアグレシッブなチームは、時にコンプライアンスを軽視する恐れがあると思ったら、ルールを重視するタイプを入れてバランスを良くする。また、安定はしているけれど成長が高くないチームにおいては、独創的な発想を持ってチャレンジ精神旺盛な人を探すなど、その時の状況に合わせて、柔軟に対応するようにしています。

phot 島本社長はメンバーの組み合わせを工夫する「チームダイナミクス」を重視するという

 私は現在、会社のダイバーシティーとインクルージョンのグローバル推進委員の1人なので、さらにこちらの観点からもチームダイナミックスを考えるようになりました。似た人が集まるとやりやすく、一時的には生産性は上がりますが、長期的な成長のためには、前提を見直すことが必要になると思っています。そこでさまざまな考え方、経験、年齢、性、国籍を持つ人が集まると、前提から確認する必要が出てくるので、それが新たなイノベーションに産むきっかけになり得ます。

自分の考えや夫婦の在り方を他人に押し付けない

――日本の「女性活躍」の流れについてはどうお考えですか。

 私は性別を意識してマネジメントはしていません。ただし、女性は産休で休むことがあるので、本当に産休明けの女性社員が会社に戻って来ることができるのかは気になります。戦力として期待しているからです。

 日本の育児休業は長く、1年もあります。1年は大きなブランクとなってしまい、本人も職場も大変です。多くの国では、3カ月から半年で戻ってきます。その代わり、短時間勤務などを採用して徐々に復帰する形を取ることが多いのです。残念ながら、日本の場合はフルタイムで働かないと保育園に子どもを預けにくい実情があるようで、育休からいきなりフルタイム勤務に戻るという、大変なプレッシャーの中で復帰されています。もう少し段階を踏んでスムーズに職場に戻れる環境が望ましいと思います。

phot 育休を取った女性にとって、いきなりフルタイムの職場に戻るのは酷だ(148963120、Tara Moore/Getty Images)

――島本さん自身のキャリアの話に戻りますが、住み心地の良い欧州で活躍されていたのに09年に帰国されたのはなぜですか。

 今度も主人の都合です。以来、9年間も東京に住んでいます。帰国の際に当社を辞めるつもりでしたが、日本とオーストラリア、ニュージーランドの市場はまだまだ伸びる可能性が高いため、会社からの要請で現職に就きました。

 求められるのはうれしいことです。でも、引き受けた仕事の大変さも分かっていました。体制の立て直しのためには何をやらなければならないのか、その遂行がどれだけ困難か。各国でずっとやってきた仕事なので、イメージできてしまうのです。

 今の仕事の大変なところは、本社がニューヨークなのに、役員がロンドンとニューヨークに分かれているため、深夜や早朝のビデオ会議が毎週いくつもあることです。世界中のどこかにいる誰かと常にやりとりをして、その対応が求められるので「オフがない」と感じてしまいます。登山が趣味で、飛行機に乗るのが好きなのは、電波が入りにくいことが大きな理由です(笑)。

 仕事を効率化するために、ライブで参加しなくても良いビデオ会議は録画をして、通勤中にスマホで聞くようにしています。香港やシンガポール、タイ、マレーシアなどで採用面接をする際も、以前は現地に出張していましたが、今ではほとんどがビデオでの面接です。音声だけではなく映像があれば、ボディーランゲージによっても伝えられます。なお、経費請求もスマホで領収書を写真に撮って申請可能です。

 いま、仕事を効率化できるツールはたくさんあります。それを使うか使わないかで、生産性や成果にも大きな差が出ると思います。

phot さまざまな偏見や障害にもめげず、目的に向かって挑戦する女性像を捉えたビジュアルが評価されるようになった(673220473、Thomas Barwick/Getty Images)

――性別を意識してマネジメントはしていないと先ほど伺いましたが、家庭では家事を分担されているのでしょうか。

 料理は私で、掃除は我慢できなくなったほうがやっています。ルンバも活用していますよ。私は、母親が家事の全てをやる家庭に育ちました。だから、主人が家で何かをやってくれたら「ありがとう」の言葉は忘れません。ただし、育った時代や環境によって価値観はさまざまなので、自分の考えや夫婦の在り方を他人に押し付けるのはよくないと思っています。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

アクセスランキング
  • 本日
  • 週間

    Digital Business Days

    - PR -