#SHIFT

逼迫する雇用需給、賃金より「働き方」 企業に変革も適応を迫られる企業(2/2 ページ)

» 2018年08月13日 14時26分 公開
[ロイター]
前のページへ 1|2       

<適応を迫られる企業>

国立社会保障・人口問題研究所は、2015年に1億2709万人だった日本の人口が50年後の2065年に8808万人に減少すると推計。このうち生産年齢人口は4529万人と、3000万人余りの大幅減になると予想されている。

一部の企業では、すでに人手不足の影響が出始めた。半導体を扱うシリコンテクノロジーは、十分な労働力を確保できず、長野県に構える工場の稼働率を半分に抑えている。東洋紡は、フラットパネルディスプレイに使用するフィルムを増産する必要があるとしているが、生産ラインを十分確保できていない。

企業側にとっては、従業員の退職を食い止めることも喫緊の課題だ。航空機メーカー向けに機体の組み立てなどを行う大起産業は、ベテランの職人が後輩を個別に指導する「メンター制度」を導入し、離職者をゼロにした。

求人メディアの運営等を行うインターワークスの笹生剛志メディア&ソリューション事業部長は「給与のみでは人材獲得が難しい状況になってきた」と分析する。製造業に興味のある多くの求職者の間では、給与だけではなく、仕事環境も重視する傾向が強まっているとの見方を示す。

外国人労働者の存在に加え、ロボットや人工知能(AI)などの先端技術活用も、人手不足への対応策となりそうだ。

マツダのサプライヤーなどが参加するロボット技術の研究会「ひろしま生産技術の会」で会長を務める鵜野政人氏は「24時間・365日の無人稼働」を目指すにあたり、ロボットやAIの発展が不可欠と説く。その上で「生産性向上と人手不足への対応の両方の課題解決につながると考えている」と強調した。

(スタンレー・ホワイト、田実直美 翻訳・編集:マクロ政策取材チーム)

前のページへ 1|2       

Copyright © Thomson Reuters