#SHIFT

逼迫する雇用需給、賃金より「働き方」 企業に変革も適応を迫られる企業(1/2 ページ)

» 2018年08月13日 14時26分 公開
[ロイター]
photo 8月9日、都内の外食産業に勤務している原田美咲さん(24)はアパレルメーカーへの転職を考えている。都内の就職フェアで2017年11月撮影(2018年 ロイター/Toru Hanai)

[東京 9日 ロイター] - 都内の外食産業に勤務している原田美咲さん(24)はアパレルメーカーへの転職を考えている。動機は、給与面の待遇だけではない。「お金か、フレックスタイムか、と聞かれたら、フレックスタイム」と話す彼女が求めるのは、生活の質の改善だ。

労働者の求めるものが変わりつつある中、深刻な人手不足も相まって、採用する側の企業も変革を迫られている。

厚生労働省によると、今年6月の有効求人倍率(季節調整値)は1.62倍と、44年4カ月ぶりに1.6倍台となった前月をさらに上回った。

総務省が集計している労働力調査では、同月の完全失業率は2.4%と4カ月ぶりに悪化したものの、その水準は依然として低く、企業の人手不足感は色濃い。

こうした中、柔軟な勤務形態や企業内の託児所、それに家賃補助などの福利厚生は、働き手にとって、賃金とともに重要な条件とみなされている。欧米諸国では一般的な「特典」も、日本では広がり始めたばかり。日本は最近まで、職の安定や緩やかな昇給と引き換えに、雇用主に忠誠を誓う文化が根強く残っていた。

企業にも変化が訪れ始めた。トヨタ自動車は4月、愛知県豊田市の本社工場近くに事業所内託児所を開業。

人材獲得の競合を避けるため、首都圏からあえて離れた場所にオフィスを開設した例もある。ジェイテクトIT開発センター秋田の今井深見代表取締役は、秋田県に拠点を設けた理由について「ソフトウェア開発人材を採用する上で、同業他社が少なく有利」と説明する。

一方、同じく自動車部品のサプライヤーであるデンソーは逆の手法を取る。同社は今年4月、東京都港区に自動運転などの研究開発を行うための拠点を設けた。本社のある愛知県よりも、東京の方が専門性の高い技術者が集まりやすいと判断した。

       1|2 次のページへ

Copyright © Thomson Reuters