3.労働時間の管理をどうするか?
テレワークを実施する場合、人事労務上の最大の問題は、労働時間の管理方法でしょう。テレワークでは自宅などの事業場外で就労するので、始業終業や休憩などの就労実態の確認が困難であることや、育児・介護などの目的でテレワークを行う場合は一定時間の業務離脱が想定されることがあります。
現認による労働時間の確認が困難ですし、PC操作記録でも、実際の閲覧作業までは確認できません。メールなどでの自己申告によらざるを得ない場合もありますが、自己申告の場合では、実態との整合性を定期的に確認するなどの作業が必要になります(労働時間の管理方法については「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン」参照)。
4.規程の作成方法
テレワークに関する規程の作成方法について説明します。まず、就業規則の本体に入れるか、別規則を設けるかという点が問題となります。テレワークの類型は数種類あり、労働法上の検討も多岐にわたることから、独立した規則を設けるのが簡単でしょう。
具体的な規定例については、厚生労働省の「テレワークモデル就業規則〜作成の手引き〜」が参考になります。以下でポイントを整理してみました。
対象者
- 正社員や非正規社員(有期契約労働者やパートタイム労働者)といった契約形態で区別するか
- 「育児・介護」による通勤の負担がある者に対象を限定するか
- 利用対象者を一定の勤続年数がある者に限定するか
- テレワークの実施を「許可制」にするか、「事前申告制」にするか
- 期間設定をするか、取消条件を設けるか
管理方法
- 始業終業時刻や休憩時間の報告(電子メールや専門の勤怠管理システムなど)
- 時間外、休日、深夜労働の管理(原則許可制にするか、事後報告制にするか)
- 業務の報告方法
- 勤務場所の指定
賃金・手当
- テレワーク手当→同手当の趣旨を明確化し、割増賃金(労働基準法37条、同法施行規則21条で、割増賃金の算定基礎から除外できる手当は限定されている)、賞与などへの影響を確認
- 通勤手当→週のうち数日出社・残りはテレワークとする場合などの日割支給など
器具・費用負担
- 通信費や事務用品などの負担(労働者に費用を負担させる場合には就業規則に記載(労働基準法89条5号))
- 機器の貸し出し、利用方法
以上のポイントを踏まえて制度を設計し、実際の運用で問題点が出てきたら、適宜改定をしてください。制度導入に当たっては、さまざまな懸念点が出てくるでしょう。もっとも、全ての事項を規則に盛り込むのは難しいので、詳細は対象者と個別の誓約書や合意書で対応するのも一案です。
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