さて、その吉田投手はこれから重要なターニングポイントを迎えることになる。日本ハム・斎藤佑樹のように期待を裏切り続けたまま伸び悩むのか、あるいはニューヨーク・ヤンキースに所属する田中将大のように日本プロ野球界の枠には収まり切れず米国の地へと飛び出してジャンプアップを果たすのか――という分岐点におそらく立たされることになるからだ。
NHK総合が生中継した決勝戦の平均視聴率は関東地区で20.3%(ビデオリサーチの調べ)。関西地区は15.9%、仙台地区は27.8%、福島地区は34.6%だった。こうした数字を見ると、吉田投手の昨今の異常な人気ぶりは、12年前の決勝の舞台で駒大苫小牧エースだった田中との投げ合いを制した早実エース・斎藤が巻き起こした“ハンカチフィーバー”に匹敵、いや凌駕(りょうが)していると言えるのかもしれない。
だからこそ吉田投手は佑ちゃんのように過大評価の連続に甘えてしまって向上心を失うのか、あるいは強い精神力とともに妥協することなく常にもがき続けて頂点を目指すマー君の生き方を模範とするか――。運命の分かれ道にぶつかった際、これからの彼の生き方と考え方がその行方を大きく左右していくことになるのである。
また話を前に戻すが、まるで誘導尋問のように吉田が好きな球団について「巨人」という答えを引っ張り出されているように思えてならないところはどうしても気にかかる。しかも「入りたいか?」と聞かれれば、誰だって「行きたいです」と答えるのは当たり前だ。
事情通はこのように語る。
「秋田県民はその昔、テレビでの試合中継が巨人戦しかやっていなかった関係で巨人ファンが圧倒的に多い。吉田君も含めて金足農のメンバーもそんな両親たちの影響をモロに受け『熱狂的』というより『なんとなく』というレベルの巨人ファン。
その心理を巧みに突き、質問した側は吉田から『巨人好き』という言葉を引き出したかったようだ。注目のシンデレラボーイに巨人ファンを公言させれば、インパクトがあるからね」と。
その吉田投手については「巨人入り熱望」、あるいは極端に話を大きく解釈し「巨人を事実上の“逆指名”」というスタンスで扱うメディアまで出て来る始末。無論、このような流れは彼にとって本意ではあるまい。
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