金農旋風を巻き起こした吉田輝星は、どんな投手になるのか赤坂8丁目発 スポーツ246(4/4 ページ)

» 2018年08月24日 12時23分 公開
[臼北信行ITmedia]
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プロの世界でも伝説を

 今の吉田投手には周りにいる大人たちのサポートも必要不可欠だ。適切な助言を与えられる経験豊富なブレーン及びアドバイザーが取材攻勢を仕掛けてくるメディア、あるいは水面下からタンパリング(不法に交渉を行うこと)に抵触するか否かのギリギリの線で接触を図ろうとしてくるプロ球団関係者たちの“交通整理”や時として防波堤的な役割を果たすことも求められる。

 その一方で吉田投手には、こんな見方をしている声もある。証言の主は金足農OBの1人だ。

 「東北の地方育ちで確かに謙虚な姿勢とピュアな心の持ち主だが、その一方で意外とドラスティックな考えも合わせ持っている。驚くかもしれないが、中学時代はいわゆる『オラオラ系』でヤンチャなところがあったと聞いているので、その期間に強心臓ぶりととセルフコントロールの術も身に付けたのだろう。例えば、連投、連投、連投で肩がぶっ壊れると警鐘が鳴らされていたが、本人は『まったくそんな心配はないです』と笑い飛ばしていた。実は試合中に『打たれても別にいいや』と思ったところで、いい意味でコッソリと力を抜いて投げているから、しっかりペース配分ができている。

 ああ見えて、相当にしたたか。天才肌ですよ。まるでPL学園時代の桑田(真澄)さんのようだ。だからもしかすると案外、今のシンデレラボーイ的な扱いになっても冷静に自分を受け止めていられるのかもしれない。そう考えると、吉田君は一流の投手になれるかもしれない」

 大学へ進学せず、プロ入りを表明すれば争奪戦は必至。いずれにせよ吉田には、プロの世界でもさらなる伝説をつくり上げてほしいと切に願う。

臼北信行(うすきた・のぶゆき)氏のプロフィール:

 国内プロ野球、メジャーリーグを中心に取材活動を続けているスポーツライター。セ・パ各12球団の主力選手や米国で活躍するメジャーリーガーにこれまで何度も「体当たり」でコメントを引き出し、独自ネタを収集することをモットーとしている。

 野球以外にもサッカーや格闘技、アマチュアスポーツを含めさまざまなジャンルのスポーツ取材歴があり、WBC(2006年第1回から2017年第4回まで全大会)やサッカーW杯(1998年フランス、2002年日韓共催、2006年ドイツ、2010年南アフリカ、2014年ブラジル、2018年ロシア)、五輪(2004年アテネ、2008年北京、2017年リオ、2018年平昌)など数々の国際大会の取材現場へも頻繁に足を運んでいる。


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