金農旋風を巻き起こした吉田輝星は、どんな投手になるのか赤坂8丁目発 スポーツ246(3/4 ページ)

» 2018年08月24日 12時23分 公開
[臼北信行ITmedia]

無理矢理な形で「巨人熱望」の流れ

 吉田投手の取材を重ねる上で「実は以前から楽天の則本昂大に心酔しており、YouTubeで投球フォームをチェックすることが日課となっている」という確かな情報が伝わってきている。そう考えれば、彼が本当に応援しているチームは巨人だったとしても、決して「入団するなら巨人1本」と考えているわけではなく、その選択肢の中に尊敬の念を抱く則本の所属する同じ東北の楽天入りも加えているのはむしろ自然の流れだろう。

 しかも吉田投手は今のところ進路について明言しておらず、大会前までは八戸学院大への進学を希望しており、プロ志望届を出すか否かについても不透明。にもかかわらず「巨人熱望」の流れを無理矢理な形でメディア側がつくっていけば、彼は不信感を抱き、両者の間に早々とミゾが深まる要因にもつながりかねない。

 そうなると本末転倒だ。これを機に吉田投手がメディアを含め周りの大人たちに不信感を募らせていけば、プロ野球の道を進む上での足かせとなり、彼の成長を必然的に阻むことにもつながってしまう。彼のストロングポイントである謙虚な姿勢とピュアな心が消え去ってしまうことは、とてつもないマイナスだ。

 個人的な見解を言わせてもらうと、吉田投手に巨人入りはあまり薦められない。近年、慢性的なスター不足に悩む巨人にとっては大阪桐蔭の二刀流・根尾昂内野手や藤原恭大外野手、報徳学園の小園海斗内野手といった今秋のドラフト1位候補とともに吉田投手も喉から手が出るほどに欲しい存在の1人だろうが、各スカウトの間では「育成下手」とささやかれているのも事実だ。それだけに巨人入りしたとしても未完の大器が未完のまま終わる可能性も否定できない。

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