「世界は朝から始まったの?」――。
7月30日、小学1年生の女の子の質問に、ネット上で絶賛の声が飛び交ったことをご存じだろうか。「ロマンしか感じない」「ステキ! 感動した」「なんて美しい質問なんだ」といったコメントが相次いだ。
女の子は誰に質問をしたのだろうか。NHKラジオ第1の「夏休み子ども科学相談」である。「懐かしいなあ、子どものころによく聞いていたよ」という人もいるだろうし、「大人になってもたまに聞いている」という人もいるだろう。番組は1984年にスタートして、今年で34年目。朝の8時5分にスタートして、途中ニュースをはさんで、11時50分に終了する。4人の先生が登場して、25〜30人の質問を受け付けるといったスタイルである。
過去の質問を見ると、大人でも驚く内容がたくさんある。「セミやカブトムシは、なぜ死ぬとひっくり返るのですか?」「感情ってどうやって生まれるんですか?」など。味わい深いのは質問だけでなく、回答にも聞き入ってしまう。「重さってなんであるのですか?」と質問した小学3年生の男の子に、科学の先生は丁寧に説明して、「君はもう世界の科学者の仲間入りをしている」などとコメント。こんなことを言われた子どもは、一生の思い出になるだろう。
このようなやりとりが30年以上も続いている長寿番組が、数年前から盛り上がりを見せている。ネット上でのコメントだけでなく、子どもからの質問も増えていて、視聴回数も伸びている。質問の内容は昔からそれほど変わっていないのに、なぜ話題になっているのか。その秘密を解くために、番組のチーフ・ディレクターを務めている大野克郎さんと、チーフ・ディレクターの柴文彦さんに話を聞いた。聞き手は、ITmedia ビジネスオンラインの土肥義則。
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