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人の気持ちが分からないダメ管理職はAIに取って代わられるマネジメントの達人に聞く(3/4 ページ)

» 2018年09月04日 06時30分 公開
[伏見学ITmedia]

肩書きに人はついてこない

 よくメンバーに教えていたことの1つが仕事のやり方、考え方です。

 仕事というのは作業的なものが大半を占め、重要ではないけど緊急というのが多いのです。例えば、上司から電話がかかってきて、すぐに報告書を出せとか、プレゼンのための資料を作れとかです。

 けれども、重要な仕事はそれではありません。優先順位をつけて重要かつ緊急な仕事に取り組まないと、作業に追われるだけになります。こういうことに1日を費やしていても、前に進むことができません。

 私は、仕事というのは、結果や目標に直接つながるものだと考えています。難しいし、やりにくいけれども、それが片付いたときには自分たちの組織の目標達成につながる、そういった仕事から手を付けていくべきです。そうでなければ、作業だけで1年が過ぎてしまいます。実際にそういうビジネスパーソンは多いです。ああ、今年も忙しかったと言うけれど、あなたは直接結果につながる仕事をやったんですかと聞きたい。

 ただし、マネジメントする立場においてここで大切なのは、組織のメンバーとのコミュニケーションの取り方です。生まれも育ちも、家庭環境も、メンバーは皆違います。それを十把一絡げで全員に同じやり方をして、成果を出そうとしても無理です。一人一人が何を考え、何を大事にしながら仕事をしているのかを知った上でコミュニケーションを取らなければなりません。

 ところが、駄目なマネジャーは、日ごろからメンバーの誰とも対話していないのに、「会社の方針はこうだ。こうしろ!」と言うわけです。メンバーにとってみれば、このマネジャーは自分のことを分かっていないと思っているので、いきなり方針を押し付けられても腹が立つし、偉そうにしてるなら引きずり下してやろうと思うわけです。これは人間のごく自然な反応ですよ。

 人の心が分からない人にマネジメントは難しいです。メンバーに何かしてほしいと思うのであれば、まずは自分から皆のところに下りていって、きちんとコミュニケーションを取る。そこからです。世の中のマネジャーには一流大学出身だったり、MBAを取得していたりと、優秀な人も多いのでしょうけれど、人の気持ちが分からないのであれば、人間的には相当頭が悪いですよ。肩書きに人はついてきません。

 普通の人は、情緒があって、雰囲気に影響されます。彼らがやる気になってくれなければ組織は動きません。人間には感情があるのです。この人が言うのなら、こんなに一生懸命やってくれてるなら、私も頑張ろうと思うわけです。

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