四半世紀ぶりに、あの“サザエさん本”がよみがえった――。宝島社は5月、1992年に刊行されて200万部を超える大ヒットを記録した「磯野家の謎」(飛鳥新社)の26年ぶりとなる続編「磯野家の危機」を発売した。
「磯野家の謎」では、国民的アニメ「サザエさん」の知られざる設定を深堀りし、「マスオの趣味は献血」「磯野家は18回も泥棒に入られた」といったトリビアを紹介していたが、新作では豆知識だけでなく、作品の舞台である1960〜70年代と現代の価値観や文化を比較し、大きく変わった点を解説している。
例えば、「作品中では波平は54歳、フネは48歳前後という設定で、芸能人の出川哲朗さんや石田ゆり子さんと同年代」といった豆知識を紹介した上で、「55歳で定年だった当時、波平の世代は“厳しいけどしょぼくれたおじさん”という印象だった。一方、現代はアクティブな中高年が増えており、当時とは立ち居振る舞いが変わっている」といったコラムを収録している。
同書を著した「東京サザエさん学会」は1981年結成。代表を務めるのは、慶應義塾大学名誉教授(文学部)の岩松研吉郎さん(74)だ。岩松さんは1974年に同大学に着任後、国文学の研究・指導を続ける傍ら、執筆活動のほか、留学生向けの日本語講座で「サザエさん」を教材として使用し、言葉と伝統文化を伝える活動なども行ってきた。
世の中に「サザエさん」ファンは数あれど、数十年にわたって愛し続け、授業で使って、本まで出版する“筋金入りのファン”は岩松さんをおいてほかにないだろう。
そんな岩松さんに、「サザエさん」への思い、25年ぶりに筆を取った理由、磯野家の人々が年を取ったらどうなるのか――など、同作品を巡るあれこれを聞いた。
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