「カツオは将来、社長になる」 サザエさん好きの慶大名誉教授と考える、磯野家の未来「波平と出川哲朗さんは同い年」(3/5 ページ)

» 2018年09月05日 07時00分 公開
[濱口翔太郎ITmedia]

カツオはIT社長、ワカメは作家、タラちゃんは営業マンに向いている

――ちょっと違う角度からの質問をさせてください。大学で長年教壇に立ち、学生の進路を見守ってきた岩松先生は、いたずらっ子のカツオ、おてんばなワカメ、自由奔放なタラちゃんは、将来どんなビジネスパーソンに育つと思われますか。

岩松先生: 知っての通り、カツオは非常に人付き合いがよく、頭の回転が速いです。今はまだ少年だから、アイデアをいたずらにしか生かせていませんが、成長してビジネスに生かせるようになると化けそうです。起業してIT社長になっているかもしれません。

 ワカメは「お嫁に行きたい」という夢を話すシーンがあるので、バリバリ働きたいとは思っていないようです。でも実は、作品中でワカメが詩や童謡、童話を作るなど、意外な才能を発揮する場面があります。“主婦作家”として家事をしつつ小説を書いたり、Twitterやブログを始めたりすれば人気が出そうです。

 タラちゃんは人見知りせず、誰とでも仲良くできる才能があります。漫画には、ひょこひょこ出歩いて、交番の警察官に話しかける場面も出てきます。年上から好かれるタラちゃんは、企業の営業マンとして街を駆け回るのが向いていそうです。

photo 磯野家の未来を語る岩松先生

――すでに社会に出ているマスオやノリスケは今後、どんなキャリアを歩むのでしょうか。

岩松先生: マスオは早稲田大学卒業後、化学関係か製薬関係の会社で働いており、32歳で係長になったばかりという設定です。残業はほぼしていませんが、当時は年功序列・終身雇用の時代。このままでも課長くらいにはなるでしょう。

 転職や脱サラが当然になった現代にマスオがいたとしたら、将来は会社をやめて発明家になっているかもしれません。作品中には「マスオの特技は発明」という設定もあり、「自動大根おろし器」なるものを作る場面があったからです。このアイテムが売れるかどうかは分かりませんが。

 ノリスケは新聞記者という設定です。勤め先は、作品が連載されていた朝日新聞がモデルの新聞社。普段は文化部に所属してのんびりと取材をしているようですが、選挙の時期になると開票速報を書く作業を手伝うシーンがあります。

 最近のジャーナリストは、一定の年齢になると大学教員に鞍替えする人も多いですが、気楽に働いていて、専門知識がたまっている様子のないノリスケに教授は向かないかもしれません。ユーモアのある性格なので、記者をやめてお笑い芸人になったほうがよさそうですね。

 あと、実はサザエも働きに出たことがあります。女性の社会進出が盛んになった60年代後半ごろに、その流れを受けて、漫画版では探偵社に就職するシーンがありました。いつの間にかやめていたようですが。うわさ話が大好きなサザエが再就職するとしたら、やはり探偵や女性誌の記者がベストだと思います。

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