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コラム
» 2018年09月06日 08時00分 公開

相手の心を開く「傾聴力」:心理カウンセラーが教える、相手の心を開く3つの“きく”ルール (3/5)

[中島輝,ITmedia]

信頼関係を築き上げるための「聴く」

 「話す」ことよりも「聞く」ことの大切さが分かったところで、次は「聴く」ことの大切さについて述べていきたい。「聴く」の中には「耳」と「目」と「心」の文字が入っているように、全身で相手の話を共感しながら聴くことが大切だ。自分の意見や感じたことは脇に置いて、真っ白に聴く。そうして初めて相手の立場になれるのだ。

 初めのころは難しく感じるだろう。つい口を挟みたくなってしまうことも多い。その場合には「パッシブリスニング」を意識するとよい。パッシブリスニングとは日本語に訳すと「受動的傾聴」と言い、「うなずき」「相づち」など必要なリアクション以外は余計な質問や会話を挟まず、相手の話を黙って聴くことを指す。営業先との接待の宴席で社長が「やっぱり1杯目はビールだよな」と言ってきたとしよう。あなたはどのように返答するだろうか。

  • 私はハイボールがいいです
  • 私も絶対1杯目はビールです
  • やっぱりビールはいいですよね

 例えば、上記のような返答パターンが考えられる。「私はハイボールがいいです」は自分の意見だ。社長は「否定されている」と感じるかもしれない。「私も絶対1杯目はビールです」も自分の意見だ。相手の会話を奪ってしまっている。最後の「やっぱりビールはいいですよね」は共感だ。さらに会話が弾むきっかけとなる。

 自分の主義・主張を述べるのではなく、自分の意見を言うのでもなく、ただ相手の意見に共感することが必要なのだ。私がカウンセリングを行うとき、相手が話を聴いてほしいと感じているときには、ただ話を聴いている。1時間でも2時間でも話を聴く姿勢が重要なのだ。

 ここで私の臨床例を1つ挙げよう。自殺願望があり、たびたび駅のホームから飛び降りたくなる衝動に駆られていたエリートサラリーマンEさん(30代男性)のカウンセリングは、ただひたすら話を聴くことだった。週に2回、相手の気が済むまで話を聴いていた。それを2カ月繰り返しただけで、Eさんの自殺願望は解消され、駅のホームにいても飛び降りたいと思わなくなったのだ。

 この事例は経営層とは関係ない話だと思う人もいるかもしれない。でも、彼らは共通して孤独な生き物であるということだ。社員や部下には分からない苦しみと不安を抱えながら生きている。そういった思いにも寄り添える営業マンは間違いなく「信頼」されるだろう。ここで誤解しないでほしいのは、自分の意見を言わないイエスマンになれと言っているわけではない。大切なことは、真っ白に聴こうと意識することで、相手に真剣さが伝わり、聴くだけで相手との信頼関係を構築できるということだ。

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