「体操女子パワハラ」問題の陰で、スポーツ庁の鈴木長官は何をやっているのか赤坂8丁目発 スポーツ246(3/4 ページ)

» 2018年09月06日 12時22分 公開
[臼北信行ITmedia]

国民の血税が投入されている

 そもそもスポーツ庁は2015年10月1日に発足。JOC(日本オリンピック委員会)とは別個にスポーツ行政の司令塔として東京五輪・パラリンピックへ向けた戦略的強化費を各競技団体に分配する窓口的な役割も担う。

 東京五輪・パラリンピック開催に関することだけでなく、他の分野においても日本のスポーツ行政を推進していく文部科学省の外局である立ち位置から、さまざまな役割を果たすべく大きな権限が与えられている。そして、そこにはいずれも我々の血税が投入されている点を忘れてはいけない。

 大々的に報じられてはいないものの、もしかすると成果が見込めそうな改革もスポーツ庁は推進している。同庁は2018年度の大学スポーツ振興事業の対象として7月末、関西大学や法政大学、立命館大学など全国から15校を選んだことを発表。3月から5月にかけて全国の大学から事業の提案を募り、有識者会議を経て審査した。

 選ばれた15校は国から財政支援を受け、トップアスリートの養成や地域でのスポーツ普及を加速させることになる。これは2019年春に設立予定の「全米大学スポーツ協会(NCAA)日本版」の創設に付随する流れだ。

 本場米国のNCAAのような組織になれるのかは疑問符も付くが、これまでどちらかといえばガバナンスが難しく目が行き届きにくいところもあった日本の大学スポーツに風穴を開けることにつながる可能性はある。

 スポーツ庁が目標とする全国の大学200校と40の学生競技団体でスクラムを組めれば、日本大学の悪質タックル問題を引き起こす要因につながった内田正人前監督のような“独裁者”は今後、生まれにくくなるかもしれない。当然、絵に描いたモチにならなければの話ではあるが――。

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