古くからある「低単価、高回転」のビジネスモデルとしては、都市部や駅構内にある立ち食いそばが有名だ。近年では、「俺のイタリアン」で有名な「俺の」シリーズや「いきなり!ステーキ」が立ち食いスタイルでお値打ち価格の料理を提供し、お客の高回転を実現してきた。
しかし、数年ほど前から、いきなり!ステーキや「俺の」シリーズで立ち食いスタイルが消えつつある。なぜなのか。
「2016年くらいから、座って食べるスタイルの店舗が主流になりつつあります」
いきなり!ステーキを運営するペッパーフードサービスの広報担当者はこう解説する。国内の店舗数は9月上旬時点で315店にまで増加しているが、ほとんどの店舗で椅子席が用意されているという。特に、出店数を増やしているロードサイドの店舗では立ち食いのスペースがゼロというのも珍しくはない。実際、18年8月にオープンしたいくつかの店舗情報を公式Webサイトで調べると、「全席椅子席」と記載されていた。
一方、都内の路面店は店舗面積が小さいため、立ち食いのスペースを残しているところもあるという。いきなり!ステーキにおけるお客の平均滞在時間をみると、ランチが20分、ディナーが30分で、「座って食べても立って食べてもほとんど変わらない」(広報担当者)そうだ。
では、なぜ立ち食いは消えつつあるのか。広報担当者は「お客さまからの要望が多かったから」と説明する。当初は、「高回転、低価格」のビジネスモデルの象徴として、立ち食いスタイルは大きなインパクトを与えたが、店舗数が急増し、多様なお客を取り込む方針に転換した同社は、椅子席を増やしたというわけだ。
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