その結果、参加者のオレンジ色に対する回答は、無臭条件のときよりも、においがある条件の方が誤差が大きくなったという。
また、記憶を想起したときの脳波を計測し、脳活動の瞬間的な電気的変動を表す成分を解析した結果、においがある条件下では、オレンジ色に対する成分が低い振れ幅を示すことも分かった。
実験結果から、かんきつ系に含まれるにおいをかいだとき、そのにおいと関連するオレンジ色への注意や記憶成績が抑制されることが明らかになった。実験を行った田村かおり特任助教は、「かんきつ系のにおいが、オレンジ色への注意を逆に奪ってしまうということではないか」と話す。視覚や嗅覚の組み合わせ方によって変化はあるかもしれないが、「かんきつ系のにおいでオレンジ色に対する記憶が高まる」という効果はなさそうだ。
今回の研究から、嗅覚情報が特定の視覚情報に影響を与える可能性があることが分かった。においを使った効果的な広告や学習教材などの開発が可能になるかもしれないという。田村特任助教は「いろいろな条件で実験を重ねれば、効果的なにおいの使い方が分かるかもしれない」と話している。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
Special
PR注目記事ランキング