富士重工とSUBARUのフォレスター池田直渡「週刊モータージャーナル」(4/4 ページ)

» 2018年09月18日 06時30分 公開
[池田直渡ITmedia]
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運転支援システムの熟成

さて、主題についてはこれでおしまいである。残りは運転支援システムの熟成具合について、ざっくりと説明しておこう。

サイズだけでなく面圧の分布に配慮し、体をしっかり支える設計を行った サイズだけでなく面圧の分布に配慮し、体をしっかり支える設計を行った

 SUBARUのアダプティブクルーズコントロールの制御は元々上手だった。他社の水準と比べても良い仕上がりだと思う。一方で、SUBARUがツーリングアシストと呼ぶ車線キープシステムは、少し真面目さが裏目に出ているのかもしれない。この1年で各社の同種のシステムは、少しセッティングが変わりつつある。それは「手を添えてさえいれば、ステアリング操作はモーターが行う」方向への転換だ。

 各社のシステムの傾向として、以前のように、意図的にステアリングを切って、ドライバーが覚醒状態にあることをシステムに意思表示してみせなくても、システムが警告をしなくなった。恐らくはセンサー感度のチューニングが進み、路面の不整でステアリングに戻る反力に少しでも抵抗を感じれば、ステアリングを握っているという判断をするようになったのだと思われる。フォレスターのシステムも昨年乗ったレヴォーグと比較すると同様の傾向が見られるが、それでもまだ強くドライバーの主体的操作を求めるものになっている。

 この辺りはユーザーが慣れてくるにつれてセッティングを変えるべき領域である。注目されている先進技術の搭載されたクルマを買って、常に自分でステアリングを操作しなくてはならないとき、それをもって実利に乏しいと判断されるのは仕方がない。だからと言ってもちろん「自動運転」では決してないことはレベル2である限り変わらない。これまで慎重にアプローチしてきたSUBARUの姿勢は評価するが、もう少しだけ前に進んでも良いように思う。

筆者プロフィール:池田直渡(いけだなおと)

 1965年神奈川県生まれ。1988年企画室ネコ(現ネコ・パブリッシング)入社。取次営業、自動車雑誌(カー・マガジン、オートメンテナンス、オートカー・ジャパン)の編集、イベント事業などを担当。2006年に退社後スパイス コミニケーションズでビジネスニュースサイト「PRONWEB Watch」編集長に就任。2008年に退社。

 現在は編集プロダクション、グラニテを設立し、自動車評論家沢村慎太朗と森慶太による自動車メールマガジン「モータージャーナル」を運営中。

 →メールマガジン「モータージャーナル」


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