以上がリクルートオフィスサポートの取材内容だ。同社が進める障害者の在宅雇用は、地方の人材を掘り起こし、リモートワークによって普通の仕事ができる環境を整えた点で画期的で、テレワーク文化が進んだリクルートグループの強みが生きた事例だろう。一方で、障害者雇用に、首都圏と地方で「格差」が生まれている現状を浮き彫りにもしている。
厚生労働省によると、16年6月時点で全国に特例子会社は464社あり、そのうち48%が首都圏に集中しているのだ。これは大企業の本社が集中しているためだと考えられる。都会で大企業による障害者の採用競争が激化する一方で、地方の障害者には福祉の事業所しか職場がないのも現実だ。これは中央省庁の雇用水増し問題と同様に、法定雇用率だけで障害者雇用を考えてきた政策が生んだ「ひずみ」ではないだろうか。
一緒に働ける人を地方で探して、リモートワークによって在宅雇用する。地方にいても同じ仕事をしているので、給与は東京の最低賃金にあわせる。リクルートオフィスサポートの取り組みは、障害者雇用はもちろん、企業全体の働き方を考えるうえでも、大きなヒントになると感じた。
田中圭太郎(たなか けいたろう)
1973年生まれ。早稲田大学第一文学部東洋哲学専修卒。大分放送を経て2016年4月からフリーランス。雑誌・webで警察不祥事、労働問題、教育、政治、経済、パラリンピックなど幅広いテーマで執筆。「スポーツ報知大相撲ジャーナル」で相撲記事も担当。HPはhttp://tanakakeitaro.link/
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