さて、筆者から見た個別製品の出来について一度総括しておこう。新世代シャシーで最初にデビューしたのはXC90だったが、これはポテンシャルこそ感じたものの、仕上がりはまだ今一歩で、やはりカネも人も十分でない中での突貫工事を想起させた。ボルボはイヤーモデルで改善が進んでおり、現在はだいぶ良くなったと説明している。
実際、同じSPAシャシーの第2モデルであるV90/S90では、多少の改善が見られた。だが、安心できるほどの出来とはまだ言えなかった。これも年次改良で良くなったので乗ってくれとボルボに言われている。
「未完の大器」と思しきSPAシャシーが筆者を含む多くの人を唸らせたのはXC60のデビュー時だ。これは同クラスのライバルの中で最良と思える仕上がりを見せた。おおよそ600〜900万円という価格が現実的な人にとっては良い選択肢になるかもしれない。
輸入車全般に言えることだが、価格の話をすると国産車との比較は困難だ。例えば、マツダのCX-5なら250〜320万円。並べて比較すれば、どちらにもそれぞれ優れているところはあり、劣っているところもあるが、筆者は全体的にはほぼ互角の実力を持っていると思う。後はそれだけの価格差をどこでどう納得できるかの話になる。
普通に考えれば輸入車ブランドだろうし、希少性でのプラスだろう。あるいは形そのものの好みでボルボに軍配を上げる人もいるだろう。ただ、その辺は正直どっちでも良い筆者からすると、一番の差はシートの出来だと思う。CX-5のシートも良くなったが、XC60のシートの出来が抜きん出すぎている。
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