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» 2018年10月11日 07時00分 公開

世界を読み解くニュース・サロン:フェイクニュース対策は「言論統制」に利用されてしまうのか (4/5)

[山田敏弘,ITmedia]

各国で強まるフェイクニュースへの法規制

 シンガポールの隣国、マレーシアでは最近、首相退任後に汚職で起訴されたナジブ・ラザク前首相が、在職中に自らに有利になるようにフェイクニュースの規制を強化。表現の自由をないがしろにしているとして、ナジブのライバルであり、後任として5月に就任したマハティール・モハマド首相が、その規制を廃止すべく動いた。だが前首相寄りの野党が支配する議会によって、阻止されてしまっている。

 カンボジアでも、5月に法規制が始まっている。フェイクニュース拡散に1000ドルの罰金または2年の禁錮刑が課され、既存メディアにも規制の範囲が及んでいるとの指摘も出ている。エジプトでも、5000人以上のフォロワーがいるSNSはメディアと認識され、フェイクニュースを起訴対象とする法規制が7月に議会で可決されている。

 また東欧のベラルーシや、東アフリカのケニアでもすでに法規制が存在する。ベラルーシはオンライン上でフェイクニュースなどをポストすれば起訴の対象になるし、SNS自体がブロックされる可能性もある。ケニアでも、意図的にフェイクニュースをアップすれば、5万ドルほどの罰金または最大2年の禁錮刑になる。

 これらの国では、これまで以上に国民の言論弾圧が強まると見られている。

 さらに、何らかの形で規制を強化する方向に進んでいる国も少なくない。ブラジルも犯罪化に向けていくつもの法案が出されているし、フランスでも選挙に特化したフェイクニュースへの法規制強化案が可決している。ロシア、インド、台湾、インドネシア、韓国などでも、法案などが議論されている。

 こうした規制は、国によって乱用され、表現活動を萎縮させてしまう可能性がある。

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