私は東京で、妻と子ども3人の5人で暮らしている。良く知られているように、東京は日本でも圧倒的に待機児童問題が深刻だ。厚生労働省が9月に発表した『保育所等関連状況取りまとめ』によれば、18年4月1日時点で、東京都の待機児童は5414人であり、2位の兵庫県(1988人)に大きな差をつけて1位だ。保育所の利用申し込みをした人のうち、待機児童になった比率を示す「待機児童率」で見ても、沖縄県が3.26%と少し抜きん出てはいるが、東京都は2位の1.84%である。
人口が東京に一極集中をした結果、待機児童問題が深刻になったと思われるかもしれない。しかし、他にも要因はある。それは、東京の認可保育所の保育料が全国的に見ても安いことにある。
保育料は世帯所得によって変動するため、国の定める最高階層にあたる所得割課税額39万7000円以上 (年収1130万円以上)の世帯が支払う保育料で比較してみよう。東京都福祉保健局によれば、満3歳未満の保育料の設定は、国基準では10.4万円だが、東京23区内では最高でも約7.9万円で、最安だと5.8万円である。これが満3歳児以上になるとさらに国の基準との格差は広がり、国基準だと10.1万円だが、23区内では最高でも約4.4万円、最安だと1.8万円なのだ。
待機児童問題に詳しい大学教授の知人によれば、東京の待機児童問題が深刻であると知った上で、それでも保育料の安い東京都の認可保育園に入れるために千葉、埼玉、神奈川などの周辺県から都内に転居する世帯も多いという。
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