これだから、白鵬は相撲界を意のままに動かす赤坂8丁目発 スポーツ246(2/4 ページ)

» 2018年10月20日 07時35分 公開
[臼北信行ITmedia]

白鵬の“百戦錬磨の術”

 白鵬は一昨年の秋場所以降、休場が6場所もあり、特に7月の名古屋場所ではくだんの右ひざ痛を発症して初日から3連勝で迎えた4日目から休場した。複数の箇所に古傷も抱えており、体は明らかに満身創痍(そうい)だ。それでも相撲界では、たとえ手負いとなってもキッチリと勝つ白鵬の“百戦錬磨の術”に舌を巻く関係者が多い。

 「うまいタイミングで休場したり、体がパンクしそうになったら力をセーブしたりしながら相撲をとり続けている。頃合いがいい時に優勝を狙ってやってのけてしまうのだからスゴいと言わざるを得ない」

 どんなに記録を重ねようが、ケガを乗り越えて土俵に上がり続けようが関係ない。とにかく白鵬がムカついてしょうがないんだ。きっと、そう思う人は世に少なくないだろう。昨年11月には元横綱・日馬富士による貴ノ岩への暴行事件が発生した現場に同席していたことが発覚。この問題を告発した元貴乃花親方とは冷戦状態となり、イメージが大きく低下したのは今さら振り返るまでもない。ここ最近は鼻につくような言動や態度の悪さなどがネット上を中心にたびたび指摘され、バッシングを浴びせられ続けていたことも背景としてあった。

 肘うちのようなかち上げ、そして張り手を多用する取り口も批判の対象となっている。前回優勝した昨年の九州場所後には横綱審議委員会から、その品位にかける取り口として名指しで糾弾された。だが、全勝優勝を飾った秋場所ではこうしたかち上げや張り手はほぼ見られず、全盛期をほうふつさせる盤石の相撲が多かったのも事実だ。これには何かと「ヒール横綱」を叩きたくて仕方がない反白鵬派の人たちもあらを探すのが難しく、黙り込むしかなかったようである。

 そう、白鵬はやればできるのだ。かばった言い方をすれば、プロレス技の「エルボー」まがいのかち上げや張り手の多用は、加齢による衰えと満身創痍の体にうまく付き合いながら厳しい相撲界で結果を残すために選んだ死に物狂いの策だったと考えられる。

 「横綱らしくない」と四の五の言う人は多いが、いくらイチャモンを付けられてもかち上げや張り手で反則負けになったケースは一度もない。現に秋場所は“クリーン”に全勝優勝を果たし、まだ横綱相撲ができることを証明してもいる。

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