「日本の携帯料金は高すぎるのではないか」――。携帯電話事業者(キャリア)の料金設定を巡り、政府や消費者の間でこんな議論が加熱している。8月末には菅義偉官房長官が「携帯電話料金は4割値下げできる余地がある」と発言したほか、9月には総務省が米国・英国・フランス・ドイツ・韓国と日本の携帯料金を比較した調査結果を発表。米国の一部プランのみ日本より高価だったものの、他の5カ国が日本よりも安価であることを示した。
ただ総務省の調査によると、各国でシェア1位の事業者(日本はNTTドコモ)が提供している端末代金込みのプランでは、日本は他国よりも比較的安いとの結果も出ている。さらに、野村総合研究所(NRI)が上記のうち韓国を除く4カ国と日本のキャリアの営業利益率(通信事業のみ)を比較したところ、米国・英国・フランスの一部企業は、日本と同水準または日本以上の比率であることも判明した。
これらの結果からは、物価の差や、営業・管理に要するコストなどを勘案すると、日本のキャリアの料金設定には一定の妥当性があり、他国よりも“もうけて”いるとは言い切れないことが分かる。
だが、日本ではキャリアが新プランを発表するたびに、SNSなどでは一部の消費者から料金面などを批判する声が挙がる。また、株価などに影響を与えるリスクがあるにもかかわらず、官房長官レベルの高官が消費者側に立ち、自由化されている産業の料金設定を批判するのは他国にはない事態だ。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
Special
PR注目記事ランキング