北氏はこのほか、スマホの台頭とともに、キャリアが消費者に提供する独自サービスが減っていることも、信頼感が低下している一因だと説明した。
「『i-mode』『Ezweb』といった独自のIP接続サービスの提供を終了したため、キャリアは通信を提供することでしか価値を示せなくなっている。かつてキャリアが持っていた価値は、米FacebookやLINEなど、サービスを提供する企業に移っている」
キャリアが価値あるサービスを提供し、消費者からの支持を保つための方法は、5G(第5世代移動通信システム)など、“キャリアならでは”の恩恵を再び受けられるサービスをいち早く構築することだという。
5Gなどが実用化に至るまでは、「他社のコンテンツやサービスを、月額料金と一体化したサービスを提供すること」も重要だとしている。
こうしたサービスには、KDDIが今夏から提供している、スマートフォンの通信料金と動画配信サービス「Netflix」の月会費などをセットにした「auフラットプラン 25 Netflixパック」、スポーツのストリーミングサービスを格安の料金で視聴できる、ドコモの「DAZN for docomo(ダ・ゾーン フォー ドコモ)」などがある。
北氏の提言をまとめると、キャリアが信頼を取り戻し、料金体系の妥当性を認めてもらうには、(1)消費者のニーズに合ったプランを提案するなど手厚いフォローを行うこと、(2)CMの内容とショップの体制を見直すこと、(3)他社のサービスとコラボレーションした料金プランを打ち出すこと――となどが求められそうだ。
一方、不満を抱えがちな消費者も、自分に合った料金プランを能動的に調べるなどし、CMなどに惑わされないようリテラシーを高めるべきだといえよう。
また、キャリア以外の選択肢に目を向けることも、携帯料金を下げる上では有効だ。ショップを持たず、接客を受けられないケースもあるが、キャリアの料金設定に不満がある場合はMVNO(仮想移動体通信事業者)に切り替えるという手もあるのだ。
北氏は最後に「安さだけでなく、誠実かつ透明なプランを出すキャリアが消費者から選ばれるようになれば、業界は変わる。また、楽天が参入すれば競争の軸も変わってくるだろう」と予測し、会見を締めくくった。
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