NPOであるTFTは大企業の日産と違って広告費はほぼ望めない。今まで調査してきたようなマス向けの広告は打ち出せないため、SNS上にキャッチーな文言を載せて人づてに流行らせるマーケティング手法を取ることにした。
消費者に届くマーケティングの本質とは何か。大宮さんがたどり着いた答えは「いかに自分事として捉えてもらえるか」。高額で手の出しづらい自動車も、「自分が買うものだ」と消費者に感じさせる必要がある。一見遠い世界のことのように思えるアフリカの子どもの問題をどうしたら「自分事」と思ってもらえるか考えた。
ちょうど子育て中の大宮さんが思い付いたのが「おにぎり」だった。「母になる前はピンとこなかったが、おにぎりはどこでも持ち歩けるし小さい子どもに食べさせるのに汎用性が高い食べ物」(大宮さん)。Instagramの主要ユーザーは子育て世代に当たる30〜40代の女性。小さいわが子によく食べさせるおにぎりから、アフリカの子どもを身近に感じてもらえるのではと考えた。
一方で今回は一般的な寄付の宣伝によくある「チャリティー臭」をなるべく薄め、明るい印象のキャンペーンに仕上げた。例えばSNSのハッシュタグの設定も「チャリティー」でなく「アクション」の文言に。掲載した支援先のアフリカの子どもたちの写真も明るい表情のものを選んだ。
「苦しんでいる子どもを救いたい、というちょっとマイナスなきっかけから生まれるエネルギーはなかなか続かない。『楽しい』という気持ちから出たキャンペーンをどう生活に溶け込ませられるかを考えた」(大宮さん)。
実際、投稿されるおにぎりの写真にはカラフルに盛り付けた1皿や、キャラクターの顔や動物風にアレンジしたものなどインスタ映えを狙ったものが多く登場している。「遊び心満載のおにぎり写真を投稿した人にはフォロワーや『いいね』が増える。『いいことしている』という気持ちより、注目されてうれしくなるのでやる人が多いようだ」(大宮さん)。
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