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後継者不足で廃業する飲食店に「待った」 ゴーゴーカレーが事業承継に意欲おいしいカレーを守る(1/2 ページ)

» 2018年11月02日 06時20分 公開
[伏見学ITmedia]

 国内外で約80店舗のカレー専門店チェーンを運営するゴーゴーカレーグループがM&A(合併・買収)に力を入れ始めた。2017年2月に金沢市の老舗インド料理店「ホットハウス」の事業を引き継いだのを皮切りに、全国のカレー専門店に対しても事業承継を呼び掛けていく。こうした施策を通じてビジネスを拡大し、21年には店舗数142店舗、売上高53億円を目指す。

金沢発祥のカレー専門店「ゴーゴーカレー」 金沢発祥のカレー専門店「ゴーゴーカレー」

 人材サービス会社のビズリーチが提供する公募サービス「ビズリーチ・サクシード」を活用する。これは事業を譲渡したい会社と譲り受けたい会社とをマッチングする仕組みで、事業承継やM&Aが成約したときに、譲り受け側がビズリーチに成果報酬を支払う。譲渡側はすべて無料で、匿名で応募できる。17年11月からサービスを開始し、現在までに譲渡案件は700件以上、累計譲り受け企業は1500社以上の登録があるという。

 ゴーゴーカレーが公募するのは、(1)全国各地で愛されているカレーの名店、(2)ゴーゴーカレーおよびインド料理の店舗として運営できる飲食店、(3)レトルトカレーを製造するための食品製造・加工工場。なお、ホットハウスは(1)に当たり、看板をそのまま引き継ぐ「ブランド承継型」と呼んでいる。

 ゴーゴーカレーの宮森宏和社長が譲り受け条件としてこだわるのが、おいしいカレーがあること、地域に愛されている店であること、従業員が長く働いていることだ。「愛される店というのは、お客さんはもちろんのこと、従業員もその店が好きだから長く勤めている。決してやらされ感で仕事をしていない」と宮森氏は力を込める。ホットハウスはまさにそんな店だという。

11月1日に開かれた記者会見に臨むゴーゴーカレーグループの宮森宏和社長(左)、ホットハウスの五十嵐憲治名誉会長(中央)、ビズリーチの南壮一郎社長 11月1日に開かれた記者会見に臨むゴーゴーカレーグループの宮森宏和社長(左)、ホットハウスの五十嵐憲治名誉会長(中央)、ビズリーチの南壮一郎社長

 ホットハウスは38年続く人気店で、金沢出身の宮森氏も20代のころから通っていた。ゴーゴーカレーの原点といっても過言ではないという。あるとき、ホットハウスの創業者である五十嵐憲治名誉会長から、後継者不在で閉店を検討していることを聞かされた宮森氏は事業承継を即座に打診した。

 「ホットハウスのブランドを守り、このおいしい味を残したかった。もし誰かに譲るなら、その相手は東京の会社ではなく、地元出身の私に任せてほしいと伝えた」(宮森氏)

 その熱意もあってトントン拍子に進み、わずか2〜3カ月で話はまとまったそうだ。ゴーゴーカレーに譲渡を決めた理由について、五十嵐氏は「昔からの知り合いというのもあるが、価値観や志の共有ができると思った」と振り返る。

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