富裕層と同じ金融サービスを受けるには? WealthNavi柴山CEOに聞くロボアドバイザーが目指すのは富裕層サービスの民主化(3/4 ページ)

» 2018年11月16日 15時45分 公開
[斎藤健二ITmedia]

 税金対策は各所で考慮している。積み立てるときには、下がっている資産を優先的に買う仕組みにすることで「積み立てにリバランス機能を付けている」(柴山氏)という。上がっている資産を売るときに税金が発生するのがリバランスの最大のデメリットなので、積み立てをうまく使うことで売ることなしに最適な比率に近づけるという考え方だ。

 さらに、リバランス時の税金を減らす「DeTAX」機能も提供する。

 「リバランスをしたときに税金が発生してしまいます。そこで別の含み損がある銘柄について、売りと買いを同時にすることで損失を実現させる。これによって、リバランスで発生した税金を減らすことができます。厳密には、将来運用を止める時点まで繰り延べることができます。富裕層はみんな年末にはやっているんです。ただしコンプライアンス上、自分ではできない。架空取引と区別しなくてはならないので」

AIは資産運用の何を変えるのか?

 資産運用にテクノロジーを活用するという観点では、AIをどう使っていくのかも気になるところだ。ウェルスナビではAI研究で有名な東京大学大学院の松尾豊准教授との共同研究も行い、AIにどうデータを入れ込むかという研究を進めている。

 「同じ5億円の資産を持っていても、プライベートバンカーが全く同じアドバイスをするわけではありません。ある人にはロジカルに説明したほうがいい、ある人は質問に対して答えるのがいい、ある人は周りはこうやっていますよとベストプラクティスを求めてくる。アドバイスに対する行動データを見ながら、対応を変えている」

 相手によってアドバイスを変えているプライベートバンクのやり方を、AIを使って実現するというのがWealthNaviの目指すものだ。それによって、富裕層向けと同じサービスを長期間に渡って提供できると話す。

 ただし運用そのもののAI化については柴山氏は目指すものが違うと話す。

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