「人は、なぜ他者を攻撃するのか?」
この問いは、古くから心理学者や社会学者たちの間で議論されてきました。
その中の1人である心理学者のJ.T.テダスキらは、「攻撃は対処行動の一つ」と捉え、「人間は何らかの恐怖を感じたり、危機的状況に遭遇したりすると、相手を攻撃したり強制的に従わせたりするなどの策を講じることで、自分の社会的地位や社会的アイデンティティーを主張する」と説明。これは「社会的機能説」と呼ばれています。
また、同じく心理学者のアルバート・バンデューラは、「攻撃は社会の中で学習し、身に付け、維持された社会行動である」とし、こちらは「社会的学習説」と呼ばれています。
どちらも「いじめや攻撃」を、環境が生む病であるとしている点は共通していますが、日本の子どもたちのいじめは、大人社会の縮図、すなわち「社会的学習説」的側面が強いのではないか。そんな懸念が数年前から研究者の間で広まっているのです。
きっかけは、国立教育政策研究所が16年に行った調査結果です。
これまでの調査で、日本は「暴力を伴ういじめ」が他国よりも少ないことが明らかになっていました。
そこで研究者グループは、日本同様に「暴力を伴ういじめ」が少ないスウェーデンと共同で「いじめの実態把握」の調査を実施。その結果、次のことが分かりました。
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