愛媛県松山市で、16歳のご当地アイドルの少女が自殺した事件が、メディアで大きく報じられた。原因は所属事務所の過重な労働環境やパワハラにあるとして、遺族が損害賠償を求めて提訴している。
遺族側は、少女が事務所に脱退を申し出たら、所属事務所の社長が「次また寝ぼけた事言い出したらマジでブン殴る」というメールを送ったり、「脱退するなら違約金1億円」といわれたと主張している。もし事実なら、辞めたいのに辞めさせてもらえないことが招いた悲劇ということになるだろう。
実は彼女だけではない。「会社を辞めたいのに辞めさせてくれない」という人の相談が増えているのだ。
厚生労働省が2018年6月27日に発表した、都道府県の労働局による「民事上の個別労働紛争の相談」(2017年度)の中で最も多いのは、パワハラなどの「職場のいじめ・嫌がらせ」の相談が7万2067件。2番目に多いのが、辞めたいといっても辞めさせてくれないといった「自己都合退職」の相談で、3万8945件(相談件数の12.8%)もあった。
08年度の1万6533件から年々増加、13年度は3万件を超え、16年度には4万0364件に達している。具体的にはどのような相談があるのか。厚労省が公表している事例には次のようなものがある。
申出人は、正社員として勤務していたが、体調を崩し、有給休暇を取得した上で退職するため、会社の就業規則に従って、上司に退職の意思を伝えたが、「代わりの人がいないので無理です」と言われ、受け入れてもらえなかった。
ちなみにアイドルが自殺した愛媛県の愛媛労働局が発表した相談件数でも「いじめ・いやがらせ」に次いで「自己都合退職」の相談が第2位となっている(2018年8月31日公表)。相談内容も「事業主に退職を申し出たところ、人手不足を理由に退職を認めず」という事例が紹介されている。
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