転職が頭をよぎったとき、あなたはどんな行動をとるだろうか。知人に相談したり、求人サイトをちょっとのぞいてみたり。終身雇用が崩れ出したとされる今、転職サイトにはまだ登録していないものの「他にいい仕事あったら転職もいいかも」と思っている人は少なくないのでは。実際、人材業界ではこうした「転職潜在層」は労働者の6割程度に当たるとされる。
パーソルキャリアの自社サービスを使った調査によると、10月の転職求人倍率は2.11倍と求人数の高止まりが続く。空前の人手不足の中、企業側としては転職市場に出ている人材だけでなく、こうした転職潜在層にもいち早くアタックしたいのが本音だ。
AI(人工知能)を活用した転職サービス「scouty」を運営するscouty(東京・渋谷)は、こうしたビジネスパーソンの「転職したい気持ちの高まり」を感知するシステムを開発、搭載した。欲しい人材が発する“転職シグナル”をAIから受け取った企業が、転職市場に流れる前にすかさずスカウトする仕組みという。
ただ、scoutyでは転職潜在層の人に直接「転職したいですか?」とアンケートを取っているわけではない。そもそも運営側は基本的にこうした潜在層にじかに接触せず、転職シグナルを発した人も感知されたことには気付かないという。なぜなのか?
scoutyはSNSをはじめネット上に流れている個人情報を元に膨大な人材データを集積し、AIに分析させることで顧客企業に最適な採用候補者を提案するサービスだ。現在は能力を数値化しやすいエンジニアを対象としている。エンジニアのみで10万人弱、他の職業も含めると約100万人をデータベースに登録している。導入企業は50社以上に上る。
一般的な転職サイトと違い、そもそも転職希望者が会員登録をすることはない。AIの分析結果をもとにscoutyの運営側が「その募集枠にはこの人が向いている」と企業にエンジニアを提案する。ある日突然、その人に企業からスカウトのメールが届くという仕組みだ。エンジニアにとっては転職活動をまだ始めていない段階であっても「これがあなたの天職かも」と誘いを受けることになる。
こうした転職潜在層へのアプローチを強化するため8月以降、scoutyに順次搭載していったのが今回の転職シグナルの感知機能だ。同社が特に注目したのは、これまで集積したデータから浮かび上がった、転職者が職を変える前後に高頻度で起こしている行動だという。
1つ目は「SNSのプロフィール内容の変更」。scoutyのCEO、島田寛基さんは「今後、転職活動時に企業人事に見られることを想定して自分の強みや弱みなどを追記したり、情報を更新してきれいな状態にしようと考えるようだ」とみる。
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