揺れ動く新卒学生の就活。企業の採用活動時期を定めた「就活ルール」については、経団連が2021年春入社の学生から廃止を表明するなど二転三転が続いている。ただ、現場では既に従来の採用の在り方が変わりつつある。ビジネスモデルの急激な変化や働き方改革で、求められる職場や人材像が変容しているからだ。新卒就活の岐路ともいえるこの時代、試行錯誤する企業や学生を追った。
2018年も空前の売り手市場が続く新卒採用。だが7月、そのトレンドとは真逆の異変が起きていた。リクルートキャリア(東京都千代田区)の就職みらい研究所の調査によると、7月1日時点の19年卒予定の女子の就職内定率が、前年同月比でマイナス2.7%となる78.8%に落ち込んだ。
男子の内定率が従来通り上がっているのをみても、女子がこの月に突出して減少しているのは異常だ。ちなみにその後の月はマイナスからプラスに緩やかに回復しつつある。この減少、実は主に女子大生が志望する傾向の強い一般事務職の採用が影響しているという。
大木奈美さん(22、仮名)は東京都内の有名私立大学の文学部4年生。はきはきとした受け答えが印象的だ。就活では金融系の一般事務職を中心に狙った。約30社にエントリーシートを送り10社ほどで面接を受けたが、10月末時点で内定は出ていない。銀行系の一般職は早めに内定を出し終える場合が多く、今は不動産などに業界を変えているが事務職は譲れないという。
就活が正式に解禁する3月以前から合同説明会や大学のレクチャーを受けて準備は進めてきた。しかし「企業説明会の参加者は募集人数に比べ多すぎる気がした。今年の一般職は倍率がすごく高いという話で、実際に回りの同じ志望の友人も苦戦していた」(大木さん)。
それでも事務職にこだわるのは、都内にある実家から通勤を希望するため、転勤のある総合職を避けたかったから。さらに大きい理由が「あまり競争心がない」点だという。「営業職に就いて同期がライバルになるというのは私に合わないと思った」(大木さん)。総合職のいわゆるキャリアウーマンには憧れず、ワークライフバランスを優先させたいという。
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