ただ、ダイバーシティー推進によって、企業は優秀な人材を獲得できる可能性が高まった。人材の流動化によって、ビジネスパーソンは主体的に自らのキャリアを構築できるようになった。
良い面も少なからず存在するため、個々人がイライラしない技術を学び、他者との違いを適切に受け入れていくことで、組織の生産性はプラスに向かい、人々は“マジ切れ”とは無縁の働き方ができるといえよう。
では、イライラしない技術には、具体的にどんなものがあるのか。
安藤氏がまず挙げたのは、アンガ―マネジメントの代表的な技術として知られる「6秒ルール」。イラっとした際に反射的に怒鳴ったり手を上げたりせず、ぐっと我慢し、心の中で6秒数えるというもので、「多くの人は6秒あれば理性的になれる。感情に支配された状態から脱出し、理性によってコントロールできる自分へと変われる」という。
次に挙げたのは、腹が立った時に「クライアントに無理難題を要求された。今の怒りレベルは4点だ」などと、頭の中で怒りの度合いを10段階で数値化し、覚えておく技術だ。
「今はどのくらい怒っているのか? と自問自答することで一瞬間が空き、落ち着くことができる。また、『今回の怒りレベルは2点で、この前より大したことはない』などと過去の経験と比べることで、怒りの抑え方が分かってくる」(安藤氏、以下同)
また、部下の礼儀作法の不備やミスなどで、どうしても注意せざるを得ない場合は、叱る基準を明確にしつつ、伝え方を工夫することで、トラブルを防ぐことができるという。
「部下が同じ失敗をした場合に、自分の機嫌がいいと許し、機嫌が悪いと怒っている上司は、判断の軸がブレており信頼されない。判断基準を明確にし、許せない行為があった場合にのみ『こういう理由で間違った行動だから、直してほしい』と端的に伝えるべきだ。仕事で怒る目的はストレス発散ではなく、相手に要望を伝えることだと忘れてはいけない」
「注意する際は、『なぜできないのか』と責めることや、『昔から言っているけど』と過去を持ちだすのもNG。『どうしたらできると思う?』と未来に目を向けたほうが部下のモチベーションは上がる。『そのやり方は絶対だめ』『必ず失敗する』といった決めつけや、『しっかりやれ』『きちんとやれ』といった抽象的なアドバイスも反感や混乱につながるので、避けた方がいい」
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