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違反すると懲役刑や罰金刑も! 「残業時間の上限規制」の影響を弁護士に聞いた「知らなかった」では済まされない(3/6 ページ)

» 2018年12月20日 09時00分 公開
[今野大一ITmedia]

「実質的な上限」が設定

 ここからは特に(1)「残業規制」と(2)「副業・兼業」についてお伝えいたします。

(1)残業規制

 法定労働時間は1日8時間、1週間で40時間となっています。これまでの時間外労働の規制は、三六協定を結んだ場合のみ、1カ月で45時間、1年間で360時間を上限とすることができることになっています。ただ、三六協定にもさらに例外があって、「限度時間を超えて労働時間を延長しなければならない特別の事情(臨時的なものに限る)」があれば、特別条項の適用により、実質的な上限はありませんでした。特に労働時間を何時間延ばしたとしても、法律上の罰則はなかったのです。実際には青天井(無制限)の残業が可能となっていました。

 ところが今回の改正によって、法律上の制限ができたのです。まず三六協定を結んだ場合に、1カ月で45時間、1年間で360時間を上限とすること、1カ月45時間を延長することができるのは、合計6カ月以内であることは、従来と同じで変わっていません。ただ、残業時間の上限も1カ月で100時間(ここで注意して頂きたいのが「休日労働を含む」点です!)、さらに月の平均を80時間(休日労働含む)、かつ1年で720時間までという規制ができたのです。この720時間は時間外労働のみの数字であり、休日労働は含みません。

 さらに三六協定特別条項の適用条件が、「通常予見することのできない業務量の大幅な増加等に伴い臨時的に限度時間を超えて労働させる必要がある場合」に変わり、その場合も法律によって上限が定められました。こうした定量的、定性的な規制によって、より条件が厳しく絞られたということです。「通常予見することのできない」といった部分についてはまだはっきりした基準が設けられていないので、今後も労基署の動きを注視していく必要があるかと思います。

phot これまでの規制
phot 改正後の規制

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