サイトウ: 分散投資というと、インデックスファンドを買えばいいのでしょうか。どの株を買えばいいのか分からないから、お任せできるし。個別株はちょっと怖い感じがします。
渋谷: とてもコメントをしたくなるうれしい質問ですね。「個別株」や「個別」というと自分で選んでいる感じを持っていますよね? また、「インデックス」というと自分で選んでないという感覚があるとすれば、まずそれが大きな間違い。
「日経平均に連動するインデックスを買いました。だから個別で選んでいない」という人がすごく多いのですが、私からいわせれば「日経225に連動する投資信託を選んでいますよね? では、何でTOPIXではないのですか? 間違いなく日経225という選択を自らしていますよね? なぜ世界に数多くある株の中から米国ではなく日本を選んだのですか? そうです、たとえインデックス運用であっても自ら選んでいるんです。
全世界株インデックスというのもありますが、それでも株式へ投資をするということを選んでいます。債券であろうと株であろうと、TOPIXであろうとトヨタであろうと、すべて選んでいるという意識を持たないといけません。選んでないから任せているから、という感覚を持っている時点で投資はなかなかうまくいかないでしょう。
分散投資とは、ただの分散ありきのことなのか、それともリスクをコントロールしたいのか改めて考えてほしいですね。多くの方は分散って書いてあるから資産を散らすんだろうなあ、1つなら散らせてないよねと思いがちです。でも、例えば年間20%動く個別株式と、年間20%動く日経平均は、リスクはほぼ同じだと考えてもいいわけです。これは銘柄数の意味でいうと分散されていません。ただしリスクという観点ではちゃんとコントロールできているといえるわけです。少し極端なたとえではありますが。
とにかく数多く分散して安心したいですか? それともリスクをコントロールして安心したいですか? そう、リスクをコントロールしたいんですね、皆さんは。
1つでもリスクをコントロールできる場合もあるし、複数持たないといけない場合もあります。分散の定義はいろいろです。5種類持てば分散という人もいますし、10種類程度では集中投資だという人もいます。両方成功者がいるので正解はありません。分散投資は分散の数ではなくリスクのコントロールだという概念が世の中に浸透すれば、この質問自体があまりなくなると思います。
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