分散投資でも防げない2つのリスクを知っていますか?渋谷豊の投資の教室(4/6 ページ)

» 2018年12月21日 11時19分 公開
[斎藤健二ITmedia]

インデックスよりもリスクの低い個別株もある

渋谷: さて、話を少し変えて。株式の中にはディフェンシブセクターと呼ばれているものがあります。例えば、電力会社、医薬品系、あと通信会社など。なぜディフェンシブな業界だといわれているのかというと、どんなに世の中が不景気になった時もこのような社会インフラを使わないと生活できない、つまり景気が後退している時に相対的に評価を上げる特徴があるからです。

 不景気だから電気を使わないで生活しようねという人はほとんどいませんし、やはりお風呂にも入るじゃないですか。不景気だからといって全く電話やメールをしない人もいません。インフラというのは守りのセクターで、不景気の時に株価が評価されるんですよ。逆に好景気のときはあまり上昇しません。

 少し景気に陰りが見えるとき、個別銘柄の電力会社を買いました、日経225インデックスファンドを買いました、TOPIXを買いました。どれが一番価格が動くかというと、多分日経平均かTOPIXの方ですよ。そうすると分散が効いてるように見えても日経平均やTOPIXの方がリスクが高い投資なんです。

サイトウ: 株よりも債券のほうがリスクが低いと思い込んでいました。なるほど、インデックスよりもリスクの低い個別株もあるし、債券が株よりもリスクが高いことがあるのですね。

渋谷: ところで、分散投資といえばどのような資産に振り分けるのでしょうか。実は、国内だけではなくて、海外の株式、日本の株式、海外の債券、日本の債券、海外の不動産、日本の不動産という6つくらいに分けるのが定番になります。そのほかにもオルタナティブ投資として金やコモディティを入れることもあります。

分散投資の例(金融庁より)

 そうすることで、リーマンショックのように60%近く資産が暴落する事態が起こっても価格が20%程度しか下がらない組み合わせを作ることもできます。ポートフォリオを作って、長い年月持っていれば、過去の歴史によると年平均で5%から8%のリターンは出るといわれています。

 資産運用にはポートフォリオとか分散投資が効果があるといわれているのですが、絶対に効くわけではありません。実はまだお伝えしていない2つのリスクが存在します。さっきまでリスク、リスクと言ってたから、リスクは排除できたんじゃないの? と思うかもしれませんが。さて、その2つのリスクとは、システマティックリスクとシステミックリスクという2つのリスクです。ここに関しては分散投資でも残念ながらコントロールできないんです。

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