2018年もあと1週間ちょっとで終わりを迎える。今年も宇宙ビジネスではさまざまな話題があったが、世界と日本での注目トピックを改めて整理したい。
18年は宇宙旅行に対して期待が高まった年であった。ジェフ・ベゾス氏率いる米Blue Originが数々の実証試験に成功したほか、12月には米Virgin Galacticが試験飛行を行い、有人宇宙機として初めて高度50マイル(約80km)の宇宙空間(米連邦航空局の定義)に到達した。こうした技術開発進展を受け、Blue Originは19年から宇宙旅行のチケット販売を開始すると言われている。
また月旅行も話題になった。10月には米SpaceXのイーロン・マスクCEOが会見を開き、23年に同社が計画をする大型ロケットBFRによる世界初の商業月周回旅行の乗客として、ZOZOのCEOを務める前澤友作氏と契約したことを発表した。そのSpaceXは国際宇宙ステーションへの有人実証飛行を19年に控えており、その成否が今後の計画にも大きく左右すると言える。
2月には米政府予算教書がされてNASAの今後の方向性が見えてきた。特徴的なのは、地球近傍の宇宙空間は商業化を進める一方で、有人月探査およびその先の火星探査につながるミッションに注力するために、全体の半分以上となる105億ドルが探査に割り振られた点だ。22年から始まる月周回軌道上の居住基地建設、23年の有人月近傍ミッションが計画されている。
また10月に開催されたIAC(国際宇宙会議)では、Blue Origin、欧Airbus、ESA(欧州宇宙機関)などが参加することで、「Moon Race」という新たな賞金レースが立ち上がることが発表された。その詳細はアポロ11号による人類初の月面着陸から50週年を迎える来年発表になるとのことだ。来年以降、官および民双方の月開発に向けた動きには注目だ。
衛星業界では多くの企業が待望してきた小型衛星を打ち上げるための専用の小型ロケット開発で歴史的快挙が起きた。11月に米Rocket Labが初の完全商業打ち上げに成功、顧客企業の衛星を無事に軌道投入したのだ。同社は12月にはNASAミッションの打ち上げにも成功した。19年に16回の打ち上げを予定しており、近い将来、2週間に1度の打ち上げに挑戦することを表明している。
小型ロケットの開発を目指す企業は、米国、中国、オーストラリア、スペイン、英国、日本など各国に存在しており、その総数は100社以上と言われている。Rocket Labが今回の成功で頭一つ抜け出した格好であるが、次に続くのはどこの企業か、最終的に何社が生き残ることができるのか注目だ。
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