「確かに、自分の地元はヤバいと思っているけど、地域再生そのものには興味がない」という方もいるだろう。実はこの本で書かれているのは、地域のことだけではない。事業やビジネスに対する向き合い方、仕事の心構えに関しても大いに学ぶべきエッセンスが詰まっている。
例えば、物事がうまくいかなくて落胆していた主人公が、母親に言われた言葉が以下である。
「落ち込んでいるときに落ち込んだ顔をしていたら、誰もあなたと仕事なんてしたくなくなるわよ。おじいいちゃんが『落ち込んだときほど、意味がなくてもいいからとりあえず笑ってろ』ってよく言ってたわ」
これは著者の実体験なのだという。ある商店街会長に「落ち込んでますという顔をするのではなく、笑い飛ばすやつが明日は成功するんだよ」と掛けられた言葉が今でも心に残っているそうだ。
この考え方はどんな仕事においても通じるだろう。暗い顔をした人、あるいはすぐに愚痴やネガティブなことを言う人とは、一緒に働きたいと誰も思わないはずだ。
本書にはこうした仕事の原理原則や行動規範、あるいは精神的支柱となるような“名言”が随所に散りばめられている。加えて、きっと失敗するであろう駄目な組織の典型なども書かれていて、地域再生にかかわりのない人であっても、自分自身の仕事や会社など身近なものに置き換えて読み解くことができる。
年末年始のこの時期だからこそ、生まれ育った町を思い浮かべながら本書を読んでみることをおススメしたい。
- 「地方は不利」――そんな常識を覆す手段はあるのだ
2017年は地方創生政策がスタートして3年が経過。計画ではなく実績が問われるようになりました。従来のように人口だけでどうにか地方を保持しようとするのではなく、新たな地方の持続可能な仕組みを考えるというテーマに地方創生はシフトしていくはずです。そうした中で地方は何をすべきでしょうか。
- 沖縄・コザの街のシャッターが少しずつ開き始めている理由
ロックの聖地として知られるコザ(現在の沖縄市)。基地に隣接する街であることもあって、かつては戦争特需で空前の好景気が訪れた。しかし、その後の衰退によって、中心街はシャッター店舗だらけになってしまった。そうした中、数年前から徐々に街が活気付こうとしているのだ――。
- 午後7時閉店でも店長年収1000万円超え! 愛知県「地元密着スーパー」絶好調の秘密
愛知県東三河地方だけに5店舗しか展開していない「絶好調」のスーパーがある。「社員第一主義」を掲げ午後7時には閉店しているのに、店長の年収は1000万円を超える。その秘密に迫った。
- 伊東温泉の現状から地方の観光地の縮図が見えてきた
「伊東に行くならハトヤ! 電話はヨイフロ」というテレビCMをご存じの方も多いだろう。かつて伊東は温泉街として全国にその名を轟かせた。しかし最近、伊東を訪れた人々は皆、街に活気がない、寂れているという印象を持つ。その現状を探ってみたら日本の観光産業の縮図が見えてきた。
- 世界が注目する東北の小さな町のイチゴ革命
東日本大震災によって大きな被害があった宮城県山元町。この地で作られているイチゴが今、国内外から注目を集めている。「ミガキイチゴ」という商品ブランドを立ち上げた岩佐大輝さんの挑戦に迫る。
- 地方が生き残るためには? 四万十ドラマ社長が語る地域おこし成否の鍵
「日本最後の清流」と言われる四万十川。この流域に、地域おこしで有名な会社がある。「四万十川に負担をかけないものづくり」をコンセプトに掲げ、地域に根ざした事業展開をしている四万十ドラマだ。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.