2018年に発生した学習塾の倒産は、過去最多の35件――。帝国データバンクの調査でこんな事実が分かった。
同社の調査担当者は、学習塾の倒産が多発している理由を「同業他社との競争が激化しているほか、少子化が進んでいるためです。人手不足による人件費の高騰や、20年に控える(大学入試制度の変更・小学校でのプログラミング教育必修化などの)教育改革への対応の遅れによって経営・集客が難しくなるケースもあります」と説明する。
学習塾以外の業態でも教育関連事業者が経営に苦しむケースは多く、18年に発生した教育関連事業者の倒産件数はリーマンショック後の09年に次いで多い計91件だった(学習塾の倒産件数も含む)。
具体的には、家庭教師サービスの運営企業や、趣味の教室を運営する企業の倒産は18年中に計35件発生。過去11年間で2番目に多い水準だった。
「家庭教師は指導力のレベルにばらつきがあるため、少人数制の個別指導塾に生徒が流れています。家庭教師は学生がアルバイトとして働いているケースもありますが、優秀な人が就職などで辞めてしまうと、とたんに運営が難しくなります。生徒が合格しないと『○○大学に〇人合格!』といった広告を打つこともできませんし、そもそも生徒が集まらないと広告費すら用意できなくなります」と調査担当者は説明する。
「趣味の教室に関しては、都心では競合との生徒獲得競争が激化している一方、地方の人口が少ないエリアでは生徒が集まらずに苦戦するケースが多いです」(調査担当者)という。
このほか、18年に発生した学校・予備校の倒産は11件で、過去11年間で3番目に多かった。「リーマンショックの頃よりは倒産件数は減っているものの、大手予備校も少子化などによって集客に苦労し、規模を縮小し始めています。予備校は合併やグループ化を進めないと経営が立ち行かなくなるのではないでしょうか」(同)という。
同社は今後の教育関連事業者の動向について、「口コミや知名度が集客を大きく左右する業界だけに、(教育改革への対応が遅れた場合などは)中小規模業者の淘汰(とうた)が進む可能性があります」と警鐘を鳴らしている。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
Special
PR注目記事ランキング