300万円か給料6カ月分 投資の前に現金を持ってますか?渋谷豊の投資の教室(6/7 ページ)

» 2019年01月10日 20時29分 公開
[斎藤健二ITmedia]
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キャッシュイズキングの2つの意味

渋谷: 一方で、現金にはリスクをコントロールする以外にも大事な役割があります。みなさんも良く聞くキャッシュイズキング、現金が重要といわれている理由は2つの役割があるからです。一つは、現金は株や債券などが下がったとしても価格が下がらないよという安全資産の役割。

 もう一つが資産を安くなったときに現金が有効に使えるということです。例えば銀座に100億円のビルがあるとします。ところが急激に不景気になってビルの価格が下落。そして値段が半分の50億円になったとします。そうなるとだれでも買いたくなりますよね。

 ところが、好景気のときは銀行が100億円のビルに対して100億円とか90億円とか融資してくれますが、不景気になり50億円に値下がりした時に同じように50億円や45億円は融資してくれないんですよ。不景気は銀行にとっても厳しい状況だから、融資の条件として「最低でも頭金は30%は入れてください」といわれるわけです。

現金があればビルもバーゲンセールで買える可能性がある(写真はイメージ。提供:ゲッティイメージズ)

 このときに15億円の現金を持っていれば35億円を借りてすごく割安になったビルを買えるのに、現金がゼロだと、せっかくビルが半額に値下がりしたのに買えない。このような不景気のときこそキャッシュイズキングだと痛感します。

 昔で言うと、経営が傾いたつぶれかけの家電量販店や小売店に行って「現金で全在庫買うからいくらで売ってくれや」という現金商売で大きく伸びた会社がありましたね。お金がない時に、現金が相手にとって一番ありがたいのと同じように、銀行の融資がつかないような不景気の時でも資産を安く買える効果があるんです。

 不景気のときは、みんな現金がほしい。奪い合いになります。金利がつかないような状況でも、不景気になればなるほど現金の価値は上がります。

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