「昔ながらのシウマイ」や「シウマイ弁当」で有名な崎陽軒でも、変わり種の恵方巻を販売している。同社はもともと「口福恵方巻き」というスタンダードな恵方巻を販売していた。しかし、「崎陽軒ならではの商品を出したい」(広報担当者)という理由から、14年に「シウマイ恵方まん」を新たに発売した。
シウマイ恵方まんとは、シウマイのあんを中華まんの皮で巻き、ロール状に仕上げた商品だ。一般的な恵方巻よりも小ぶりなので、「お子さまや高齢のお客さまにも受け入れられている」(広報担当者)という。恵方巻市場の盛り上がりを受けてか、2つの恵方巻は予約販売数と店頭販売数が伸び続けている。年によっては、予約を打ち切らざるを得ないこともあるという。
大丸東京店(東京都千代田区)では、10年ほど前から恵方巻の販売に力を入れ始め、ここ6〜7年で変わり種も徐々に増えてきている。その結果、18年には過去最大の150種類にまで増えた。
19年も引き続き150種類の恵方巻を販売する予定で、特に目を引くのは、ノリとコメで具材を巻くという“常識”を覆すような恵方巻をそろえたことだ。例えば、黒毛和牛のローストビーフでコメと具材を巻いた「黒毛和牛ローストビーフの恵方巻」(2592円)、サクサクのパイ生地でソーセージとザワークラウトを包み焼きにした「アルザシアン」(626円)、薄く焼いた卵でオムライスの具を包んだ「ワンハンドオムライス」(864円)などがある。
なぜ、このようなものを販売するに至ったのだろうか。広報担当者は「普段、恵方巻を販売しないようなお店から、『節分にあわせて恵方巻と関連するような商品を出したい』という相談がありました。そこで、当社の商品担当者とお店の担当者が何度も相談し、試行錯誤を重ね、今回のような商品を販売することになりました」と説明した。
大丸東京店も単に珍しさを打ち出すことが狙いではない。「具が海鮮のものだけでなく、肉や洋風のものが食べたい」というお客の声を踏まえ、商品開発を決めたという。
このように、節分に恵方巻を食べる習慣が定着するに従い、お客はイベントとして積極的に楽しもうとしている。ローソンで恵方巻味のポテチを開発した松林千宏さんが「『楽しい』は『おいしい』ですよね』と分析するように、味だけでなくエンターテインメント性を訴求する狙いが背景にはありそうだ。
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