“片づけ”でアメリカンドリームをつかんだ「こんまり」と、ピコ太郎の共通点世界を読み解くニュース・サロン(2/5 ページ)

» 2019年01月24日 07時00分 公開
[山田敏弘ITmedia]

こんまりの本が日本と米国で売れた理由

 本題に行く前に、そもそもこんまりとは何者なのか。またその人気と成功の裏側をのぞいてみたい。

photo ベストセラーとなった『人生がときめく片づけの魔法』

 近藤氏は東京出身の34歳。東京女子大学を卒業後、リクルートエージェント(当時)を経て、片付けに特化したコンサルタントに転身。そして単行本企画のコンペに応募した際に、サンマーク出版の編集者の目に止まったことで、ベストセラーの『人生がときめく片づけの魔法』という本が生まれたという。

 Amazonの紹介文によれば、その編集者は「私が審査員の一人として参加していた、ある単行本企画コンペで優勝したのが、この本の著者、近藤麻理恵さん(通称・こんまりさん)です。その第一印象は強烈で、『この人はテレビに出て有名になる』と感じたことを鮮明に覚えています」と語っている。無名の作家を見つけ出してベストセラーを作り出すのだから、この編集者も本物の「プロ編集者」だと言えよう。

 すでに述べた通り、『人生がときめく片づけの魔法』は日本でベストセラーになり、14年には米国で出版されることになった。この本は、カリフォルニア州バークレーにある出版社が版権を獲得した。その出版社によれば、米国での初版部数は「3万部」で、編集長は当初、この部数があまりに強気であると感じたという。ちなみに現在の日本では、無名作家のノンフィクション本でこの初版部数はギャンブルに近いと言っていい。

 そこで同社は、発売前の表紙もない「ゲラ」を独立系の書店やブロガーなどにばらまく作戦を決行したという。それが奏功し、同著が発売されると、口コミなどでどんどん評判が広がっていった。さらにその頃に、今回番組を制作した元フォックス・エンターテイメントの女性プロデューサーが同著の映像化権を獲得し、3年たった19年にようやく放映されることになった。

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