“片づけ”でアメリカンドリームをつかんだ「こんまり」と、ピコ太郎の共通点世界を読み解くニュース・サロン(5/5 ページ)

» 2019年01月24日 07時00分 公開
[山田敏弘ITmedia]
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こんまりとピコ太郎の“共通点”

 大物スターの推薦は、日本人が米国で一気に成功するにはかなり重要だと言える。というのも、少し前に一世を風靡(ふうび)したピコ太郎も、大物歌手のジャスティン・ビーバーが2016年9月28日にTwitterで「インターネットでのお気に入り」と紹介している。それをきっかけに一気に世界規模のスターになった。

 近藤氏とピコ太郎の共通点とは、米国で影響力のあるセレブに「認められた」ということにある。こうした後押しが、彼らを一気にスターダムに押し上げている。

 また2人の成功からは、別の側面も垣間見られる。2人はどちらも英語を話さないことだ。

 近藤氏は米国人の家庭を訪問して片付けを行う冠番組でも、通訳を伴って日本語でやりとりしている。要は英語ができる・できないは、米国での成功にはあまり関係ないということだろう。逆に、英語を話さないことで、「移民」というイメージではなく、「外国人」というイメージが広がり、人種や移民問題などに敏感な米国人には、「微妙な存在」または「敵」に見えない。特にドナルド・トランプ大統領の登場からいろいろと話題になっているため、余計なストレスなく見ていられるのかもしれない。しかも彼らが生粋の日本人であるというのも、日本文化を体現している存在として受け取られているということだろう。

 とにかく、批判はあれど、こんまりの躍進はしばらく続きそうだ。まだ彼女を「Kondo」せずに、しばらくその動向に注目していきたい。

筆者プロフィール:

山田敏弘

 元MITフェロー、ジャーナリスト・ノンフィクション作家。講談社、ロイター通信社、ニューズウィーク日本版に勤務後、米マサチューセッツ工科大学(MIT)でフルブライト・フェローを経てフリーに。

 国際情勢や社会問題、サイバー安全保障を中心に国内外で取材・執筆を行い、訳書に『黒いワールドカップ』(講談社)など、著書に『ゼロデイ 米中露サイバー戦争が世界を破壊する』(文藝春秋)『モンスター 暗躍する次のアルカイダ』(中央公論新社)、『ハリウッド検視ファイル トーマス野口の遺言』(新潮社)がある。最近はテレビ・ラジオにも出演し、講演や大学での講義なども行っている。


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