“片づけ”でアメリカンドリームをつかんだ「こんまり」と、ピコ太郎の共通点世界を読み解くニュース・サロン(3/5 ページ)

» 2019年01月24日 07時00分 公開
[山田敏弘ITmedia]

米国で社会現象になった「こんまりメソッド」

 基本的に彼女の片付けは「断捨離」で、キーワードは「ときめき」。英語では「Spark Joy」と言っているが、要するに「ときめき」を感じない物は捨ててしまおうということらしい。それを米国では「こんまりメソッド」と呼んでいる。

 米国では近藤氏の「信者」も多いと報じられている。事実、近藤氏を絶賛する記事やSNSのポストはしょっちゅう目にするし、こんまりメソッドに傾倒している人のWeb記事もある。「147センチしかない小さなお人形のような近藤のメッセージは強力なものだ」という記事も目にした。とにかく、一つの社会現象のような状態になっているのである。米ウォール・ストリート・ジャーナル紙は「Kondo」という言葉が今では英語の動詞になっており、「処分する」「きちょうめんに畳む」という意味で使われるようになりつつあると報じている。

 そして近藤氏は、多角的にビジネス展開にも乗り出している。

 「こんまりメソッド」を広めるセミナーを開催すれば、ソールドアウト状態。19年も3月にニューヨーク、4月にロンドンでセミナーが予定されており、すでにソールドアウトだが、参加費は2泊3日で1人2200ドル(ニューヨーク)と2400ドル。しかも近藤氏は、セミナーの最初と最後にあいさつするだけである、と丁寧に説明までつけられている。セッション自体は、米国人らしき弟子がやるようだ。ちなみに弟子はコンサルとして証明書を維持するために、毎年500ドルを近藤氏に支払う必要があるという。

 さらに、ボックスなどの収納用品も販売しており、商品は完売。米国で超有名な料理本や家庭生活グッズなどをプロデュースし、冠番組と自分の名前で雑誌を出版している「カリスマ主婦」マーサ・スチュワートと同じ路線で突き進んでいるようだ。ちなみに、基本的に米国人女性の多くはこうした「家庭を良くする」「理想的な家庭像」を啓発する文化にハマりやすい傾向があると感じるが、それに見事にハマったのだと言えよう。

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